■「問う」という知的な体験への誘い。「答え方」にも学ぶ点多し
本書を読みながら、多くの読者が、「問い」を探して、自身の内と外を見つめなおすであろう。著者に「A」と評価される「問い」はどこかに転がっていないだろうか?その「問い」には、すでに答えは出ていないか?単独で「問い」として成立するものなのか?あるいは、本当に答えを必要としているものなのか?
世の中はわからないことにあふれているはずなのに、意識して探すと、存外に「問い」は見つからないものだ。
問うためには、自分がわかっていることとわからないことを知らなければならない。語彙を定義し、吟味しなければならない。それは、きわめて能動的な知的作業だ。
本書は、難しくて楽しい「問う」という知的体験への誘いの書なのである。
最後に、「人は、どう答えるかではなく、何を問うかで評価されるべきである」という信念を実践している筆者の意志には反するかもしれないが、彼の「答え」で本書を評価するなら、一言で言うと、「面白い」。ファンならずとも、彼の快答に納得させられたり、クスリと笑わされたり、大いに楽しめるだろう。また、著者の「答え方の基本心得」はビジネスシーンでのディベート・テクニックとしても応用できそうだ。詳しくは本書を。
最後の最後に、「犬の鼻は何でできていると思いますか?」という問いに対する著者の答え。
「別に「思って」いませんが、有機質でしょう」――
★あえて、アラ、捜します!
アラというのではないんですが、森先生自身の学生への「問い」が知りたい。第一集で、「逆バージョンは、締め切りまでに答えが出せる学生がいないから無理」とは仰ってますが。
この本を買いたい!
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