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席亭に聞く:鈴本演芸場編/その2(2ページ目)

「席亭に聞く:鈴本演芸場編/その1」の続きです。番組表の決め方や企画の構成など、寄席の運営についてさらに詳しく伺いました。落語ファンが気なる「あの噺家」の襲名についても伺いました。

執筆者:清水 篤司

出演者の選定

出演する芸人の名前が登場順に表記されている番組表は演芸場の入り口に掲げられています
ガイド:寄席の番組表の決め方ってどういう風に決めるんですか?

鈴木席亭:「顔づけ」といって、落語協会事務所に、各席の席亭、支配人、協会の事務員さんら六、七人が集まって行われます。最初にトリ、仲入りの噺家さんを決め、後は順番に各寄席の時間がぶつからない様に札を納めていきます。

ガイド:番組構成を決めるのも席亭の重要な仕事なのですね。

鈴木席亭:それと、うちではトリを取る噺家さんをベテランや人気のある人ばかりでなく「最近、腕を上げてきたな!」と思われる若手を積極的に抜擢するようにしています。それゆえ、演芸場内にいるときは、常に噺家さん達の噺には耳を傾けています。

またベテランの噺家さんをくいつき(中入り後にあがる芸人)や番組の前半に持ってきたりもします。トリだけでなく、休憩後や前半でお客さんを暖める(盛り上げる)ことも重要な役割ですからね。

ガイド:なるほど、プログラムの全体のバランスを考えて番組を構成しているんですね。

寄席は大衆演芸場

ガイド:寄席である鈴本演芸場の特色やこだわりを教えてください。

鈴木席亭:そもそも寄席はお客さんに、気軽にいつでも落語等の寄席芸能を楽しんでもらう場所です。じっくり、古典落語を聴きたいのであれば、各ホールで開催される独演会や落語会におこしになればいいと思います。寄席はあくまでも大衆演芸場ですので、そんなに堅苦しくなく、気軽に楽しめるような場所でありたいと思います。

寄席は芸人の修行の場でもある

鈴木席亭:それと、寄席の出演者は十日間連続で出演しなければなりません。来場されるお客さんは毎日違いますし、自分目当てのお客さんとは限りません。そんなお客さん達を楽しませるためには、それ相応の力量が必要です。毎日、その日のお客さんを満足させるために自らの技量を上げ、また自らの力量を試す場所でもあると思います。

ガイド:なるほど、落語を演じる場所だけでなく修行の場でもあるということですか?

鈴木席亭:ええ、それゆえ、寄席でお客さんを満足させるようになるにはそれ相応の経験と年季が必要だと思います。初めて寄席の高座に上がってから数年はかかるでしょう。しかし、寄席で経験を積んだ芸人さんはどこへ行っても会場を沸か力量が身に付くはずです。

次ページでは、落語ファンが興味深々である「あの噺家」の襲名についてお聞きしました。
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