落語/落語関連情報

席亭に聞く:鈴本演芸場編/その1

今年で開席150年となる鈴本演芸場。この都内で最も歴史がある定席の六代目席亭である鈴木寧氏に寄席の魅力と、普段なかなか知ることのできない席亭のお仕事について伺ってきました。

執筆者:清水 篤司

上野鈴本演芸場の歴史

鈴本演芸場の歴史については上野のれん会発行の小冊子「うえの」の中の鈴木席亭のコラム、「鈴本演芸場開席百五十年」を参考にさせてもらいました
鈴本演芸場の歴史は古く、開席は江戸時代まで遡ります。安政4年(1857年)に本牧屋仙太郎、改め鈴木龍助が上野広小路に軍談席「本牧亭」という講釈場(講談を主に行う会場)を始めました。

そして明治九年に、現在の演芸場も前の通りを挟んで反対側の角地に移転した時に苗字の鈴木の”鈴”と本牧亭の”本”を組み合わせ”鈴本”という色物寄席となりました。

現在の場所に移ったのは関東大震災後の大正12年9月。その後、第二次世界大戦下の東京大空襲で焼失しましたが、戦後すぐに復興し、笑いや楽しみに飢えたお客さんで賑わったようです。

現在の近代的なビル建築の寄席になったのは昭和46年。ビルに立替当初は「従来の寄席の風情がなくなった」との評もあったようですが、現在では冷暖房が完備で見やすく綺麗なホールは落語や寄席芸能を聞く場所としては最適な場所として高い評価を得ています。

現在は、上野のシンボル的な存在として、演芸ファンだけでなく地元や観光名所として愛されています。

そこで今回は、鈴本演芸場の席亭(寄席の主人)である鈴木寧(すずき やすし)さんに鈴本演芸場の魅力とこだわりについてお話をうかがいました。

若い頃は落語に興味がなかった

取材とインタビューにご協力をいただいた、鈴本演芸場・席亭:鈴木寧さん
落語ガイド(以下ガイド):鈴本演芸場の魅力と歴史を紹介するとともに、上野鈴本演芸場の特色やこだわりを席亭(寄席の主人)からお話していただき、落語の楽しさを広く読者に知ってもらうという主旨でインタビューさせていただきます。よろしくお願いします。

鈴本演芸場 六代目席亭:鈴木寧氏(以下敬称略、鈴木席亭):よろしくお願いします。

ガイド:鈴木席亭は六代目ということで、やはり小さい頃から寄席で落語当等の演芸に慣れ親しんでいたんでしょうね?

鈴木席亭:いえ、よく皆さんから子供の頃から「志ん生、文楽などを聞いて育ったんでしょ?」と聴かれますが、実は鈴本に入社するまで、落語の「ら」の字も興味はありませんでした。大学卒業後も、テレビの番組の製作会社に就職し、そこでテレビの音楽番組の制作を担当していましたし。

ガイド:それは、ちょっと驚きです。それでは、寄席の世界に入った後は、落語に対するイメージはずいぶん違いましたか?

鈴木席亭:いや、イメージさえまったくありませんでので、観るもの聴くもの全てが新しく新鮮でした。この先入観がなく、自分の感覚で噺家さんの落語を聴くことがでた点は今、振り帰っても良かったと思います。

【関連リンク】
鈴本演芸場ホームページ内「鈴本の歴史」

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