ショルダーバッグを大人の手に
RO「Thinショルダーバッグ(ブラック)」30,450円(税込) 色は、他にチャコールグレーがある。 |
ショルダーバッグは、カジュアルな鞄として生まれたものだけに、そのデザインや機能がどうしても若い人向きになりがちです。雑嚢にせよ、メッセンジャーバッグにせよ、ボディバッグにせよ、シックなものというよりポップなデザインのものが多く、機能よりも収納量や軽さが重視された製品が多いのです。大人向けというと、普通のビジネスバッグにショルダーストラップを付けたものがメインなのが現状です。
そんな中、前にガイド記事で紹介したROのメッセンジャーバッグのように、素材やサイズ、形を見直す事で、最初から大人が使うことを前提にしたショルダーバッグも作られ始めています。ガイド記事で紹介したものとしては、m+の薄マチのショルダーバッグもそんな大人のショルダーバッグの一つです。そのm+のものもそうですが、若い人向けのモノを大人向けにリデザインするのではなく、元々、鞄は袋だったのではないかという原点に戻る事から発想すれば、大人が使うショルダーバッグにたどり着くのではないでしょうか。
ROの「Thinショルダーバッグ」を使っていて思うのは、肩から提げるのなら、単なる袋的なものがとても使いやすいという事です。メッセンジャーバッグや雑嚢のように、フラップをはね上げて、その中のファスナーを開いて、という手順なしで直接、鞄の中にアクセス出来るスピードが、ショルダーバッグという形にとても似合っていると思うのです。
歩きながら使う事を考えたスタイルと機能
W270×H335×D30mm、650gの薄マチタイプ。ショルダーストラップは700~1330mmまで調整可能 |
トートバッグが高い人気を誇るのは、そのモノの出し入れの簡単さだと思うのです。それこそ、言ってしまえばトートバッグとは、袋に長めの把手を付けたモノと定義してしまえる鞄です。そして、だからこそ使いやすいのです。
そして、実際に使っていれば分かるのですが、例えば、歩きながら鞄の中のデジカメを取り出して撮影、再び鞄に収納、という動作を考えた時、これが手提げの鞄の場合、片手で鞄を持ち、もう片方の手でカメラを取り出し、片手または鞄の把手に手を通して両手で撮影して、再び片手で鞄、片手でカメラを持って鞄に戻す、という動作になります。メッセンジャーバッグの場合でも、まずフラップをはね上げて、それをアゴの下などに挟んだ状態で鞄を開き、中からカメラを取り出して撮影。再びフラップを上げてカメラを収納、フラップを戻すという手順になります。この作業が、「Thinショルダーバッグ」だと、片手を突っ込んでカメラを取り出し、両手で撮影して、カメラを鞄に放り込むだけです。
元々、ショルダーバッグは両手が空くので、歩行中に何かを行うのが楽な鞄です。それこそメッセンジャーバッグのように、鞄を持ったまま自転車に乗る事も出来ます。しかし、メッセンジャーバッグは自転車、雑嚢は通学、ボディバッグはファッションと、それぞれに目的があり、案外、歩行中や電車の中、屋外で立ち話といった状況での機能性というのは考えられていなかったりします。どこかで鞄というのは、ある地点から別の地点まで荷物を運ぶものとして作られているものだったりするようなのです。その意味では、「Thinショルダーバッグ」のような「歩きながら使う事で真価を発揮する」タイプの鞄は、新しいタイプの鞄と言ってもいいのかも知れません。言わば、鞄とポーチの中間に位置するものです。
薄マチで縦型の袋状がもたらす扱いやすさ
A4の雑誌も入るサイズで、傘やペットボトルを立てたまま収納可能 |
「Thinショルダーバッグ」は縦長のデザインですが、これがまた袋としての機能を活かしています。まず、縦長なので上部のファスナーを閉じなくても、中の荷物が飛び出したり、外から見られたりがほとんどありません。だから、歩きながらの中身の出し入れがとてもスムーズ。しかも、縦長なので見た目のサイズの割に、A4サイズの雑誌が入りますし(このA4サイズが入るかを鞄選びの基準にしている方は多いようです)、折畳み傘や500mmlのペットボトルを立てて入れられます。
横型の鞄だと、傘は倒した状態で鞄の奥に入れがちですが、これだと雨が降ってきた時に出すのが面倒で、結局傘を持ってるくせに濡れてしまったということになり兼ねません。片手ですっと取り出せる「Thinショルダーバッグ」の便利さは、ここでも活きるわけです。また、元々、薄マチで、それほど沢山の荷物は入りません。ビジネスで使うなら、仕事のファイルに筆記具、デジカメ、スマートフォン、新書、iPod、手帳、雑誌に折畳み傘といった程度で一杯です。それこそ、ウェストポーチよりも入るけどブリーフケースほどは入らないという感じです。つまり、目的に応じて必要なものが必要なだけしか入らないという、ある意味絶妙なサイズなのです。
ファスナーでマチを30mmから80mmに広げることができる |
ファスナーでマチを広げれば、さらにもう少し入りますが、それでもしっかりマチ幅のあるブリーフケースには敵いません。それが、この鞄のコンセプトだし魅力でもあるのです。その余分なモノが入らないサイズだから、大人が肩から提げていても様になるシルエットが保たれます。また、そのサイズだから、必要なものを放り込んでおけて、すぐに取り出す事も出来ます。大き過ぎる袋は歩きながら使うのに向いていないのです。