書く現場での信頼性にこだわったボールペン
トンボ鉛筆「AirPress」各色630円(税込) |
トンボ鉛筆の「AirPress」は、「仕事で書く」というシチュエーションに対し、徹底的に機能を追求した、世界でも珍しい「現場のためのボールペン」です。前のページで紹介したLAMY「noto」は、徹底的に洗練させた、オフィスのためのペンですから、ある意味対照的というか、机上にはnotoを、ポケットにはAirPressを、というのが、使い方としては正しいように思います。
ポケットに入れやすい、ちょっと短いサイズと、持ち易さを考慮した太めの軸。ノックしやすい大型のノックボタンに、どこにでも引っ掛けられる大きなクリップなど、デザインが、いちいち求められる機能から発している潔さが堪りません。notoとは比べるべくも無い、野暮ったいデザインですが、何故、その形になったのかが分かりやすいだけに、持っていて不快感はありません。むしろカッコいいとさえ言えると思います。
ノック加圧機構でいきなり書き出せる
これは、ノックボタンオフ、つまり加圧前の状態 |
AirPressの最大の特徴が、ペン先を出すためにノックすると、その都度インクを押し出して、書き始めをスムーズにする「ノック加圧機構」。この機構のおかげで、油性ボールペンにありがちな、しばらく書かないとインクが出ないというトラブルや、水平や上向きに書いていてインクが出なくなるという事態になりません。
ノックボタンを押すと、このようにインクが加圧される |
この機構の有り難さは、本当に現場で実感出来ます。インタビューなどの際、相手の顔を見ながらメモを取るため、気がつくとインクがかすれて文字が読めなかった、というような、意外に油性ボールペンでは起こりがちな事態が、AirPressだと全く起こらないのです。また、携帯電話で話しながらメモするなどの、咄嗟の場合に、スッと文字が書ける快感は、AirPressならではです。
加圧式のボールペンは、フィッシャーのアポロペンや、トンボのXPAなどが有名ですが、それらは、リフィルそのものが加圧式。そのため信頼性は高いのですが、リフィル自体もそこそこの価格になっています。その点、AirPressは本体も低価格ですが、交換用のリフィル「BR-SF」も63円と安価なのもポイントが高いです。
クリップとグリップの質実剛健な心地よさ
大きなクリップやストラップホールなど他には無い機能が満載 |
ガイド納富が気に入っているのは、大きく開くクリップの形状です。単に胸ポケットに挟むためのクリップではなく、大きく開いて紙の束も留められる、本当に「クリップ」なのです。そのため、厚手のクリップボードやカバンの口などにも挿して置く事が出来て、両手が塞がりがちな取材などで威力を発揮します。さりげなく、ストラップなどを付けられる穴が用意されているのも嬉しいですね。
握りやすい太軸は濡れた手や手袋でも大丈夫 |
また、太い軸に滑り止めのスリットが付いたグリップ部分も、必要最小限のパーツで、握りやすさを実現。ペン先は筆記時にホンの少しブレるのですが、許容範囲だと思いました。この太さだと手袋をしていても使えるし、ラバー素材の軸は濡れた手でも持てるし、落としても壊れないし、実際に取材時に使っていて、本当に頼もしいペンだと思いました。
ガイド納富の「こだわりチェック」
LAMYの「noto」と、トンボの「AirPress」は、とても対照的なペンですが、どちらにも共通するのは、普段使いを徹底的に考えて作られたペンだという事。その徹底ぶりが、ガイド納富はとても好きです。どうせ使うなら、こういう「考えられた」ペンが使いたいと思うのです。
実際に、notoは最も気に入って使っているペンケースに入れて、普段の生活の中のメインのボールペンとして使っています。またAirPressは二本用意していて、一本はカバンのポケットの中に挟み込み、もう一本は部屋でも外でも使うメモパッドに挟んでいます。外出中に、きちんとノートをまとめる際のnotoの扱いやすさ、電話中のメモを取る際のAirPressの素早さには、いつも助けられています。
数千円~数万円の筆記具も、それはそれで大好きですが、デイリーユースをきちんと考え、使うシチュエーションを考慮し、低価格に出来るように大量生産が可能な作りにして、という部分に人の叡知を結集したようなプロダクトには、また違った感動を覚えます。そういうものを毎日使える喜びすら感じます。notoもAirPressも、使うたびに、良いペンだなあと思わせてくれて、それは中々幸せなのです。
<関連リンク>
・LAMY「noto」公式ページはこちら
・トンボ鉛筆「AirPress」の公式サイトはこちら
・LAMY「Swift」についてのガイド記事はこちら
・ガイド記事「普段遣いボールペン(2000円以内)ベスト5」はこちら
・ガイド記事「使える、ミニペン・ベスト5」はこちら
・カジュアル筆記具大賞 日常使い筆記具ベスト5