男のこだわりグッズ/大人の遊び心とセンスを発揮する

ポラロイドカメラのゆっくりした愉しみ

撮影したら、その場で写真が現れるインスタントカメラの代名詞、それがポラロイドです。名機「SX-70」を始めポラロイドカメラとは「流れる時間を切り取る」カメラ。そのアナログなハイテクを愉しみましょう。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド


かつて一番速い写真だったポラロイド(インスタント)写真

ポラロイドのある週末は、何故かゆっくり時間が進む

ポラロイドカメラと言えば、30年ほど前には皆の憧れでした。当時、写真を撮ってから写真屋さんにフィルムを持って行くと、大体三日くらいで出来上がった写真を手にすることが出来ました。ところが、ポラロイドカメラは、何とその場で写真が出来てしまうのです。そして、1972年、ポラロイド社は「SX-70」を発売しました。

シャッターを切ると、すぐにフィルムがカメラから送り出される、その仕組みは画期的でした。しかも、出てきた時はただの白い紙が、見る見る内に写真になっていきます。それまでのインスタント写真は、撮影後、90秒とか待ってから、紙を剥がさなければなりませんでした(このタイプもずっと発売されていましたが)。その簡単さと、不思議さは「アラジンの魔法の箱」と呼ばれ、世界中で大ヒットになりました。アンディ・ウォーホールが愛用したことでも有名です。

ガイド納富も子供の頃、このカメラに憧れました。その機能もポラロイドカメラであることも、そして何より、折り畳んで携帯できるというギミックに、とても心惹かれていました。大人になったら絶対、買おうと心に決めていたものです。しかし、いつの間にかポラロイドカメラは過去のものになり、「SX-70」も生産中止どころか、ポラロイド社自体もなくなって、今では、フィルムを入手することさえ難しくなってしまいました。

デジタル時代のポラロイドの愉しみ

世界の名機!ポラロイド「SX-70」(生産終了)

道交法改正で民間の調査員の方々が、違反車両のナンバーをデジカメで撮影していますが、時代が時代なら、あれもポラロイドカメラだったかも知れません。実際、事故現場などはよくポラロイドカメラが使われていました。また、イベントなどで有名人とポラロイドカメラで2ショット写真を撮って、そこにサインをもらえる、なんてこともありました。そんな時に活躍していたのもSX-70でした。

実際、今、ポラロイドカメラを使って撮影してみると、これが結構難しいのです。これは古いフィルム全般に言えることなのですが、今のフィルムやデジカメに比べて、露出が厳密なのです。暗いと真っ暗に写ったり、明るいと明る過ぎて真っ白になったりして、適性露出で撮らないと、中々良い写真にはなりません。

でも、その不自由さが、デジカメ時代の現在、とても面白いのです。じわっと写真が現れてくる、その緊張感や、上手く撮れた時の喜びは、デジカメでは得られないものです。また、撮った写真は、当然ですが、それ一枚しかなくて、今、この瞬間を切り取ったという感じがとても強く出るのです。出来上がった写真の余白に文字が書けるので、ちょっとしたメモを書いておくと、その一期一会な感じはさらに強まります。

今でもモノとしての輝きを失わない「SX-70」

こんな風に折り畳めるのがカッコ良い

そんなポラロイド写真を撮るカメラが「SX-70」だったりすると、その愛おしさは倍増です。実際、このカメラは、今の目で見てもとても魅力的な製品なのです。発売から20年以上経った1997年には、テレビドラマ「ギフト」で木村拓哉さんが使っていたことで、中古市場で価格が高騰したことがあります。今でもネットオークションなどでは、1万円前後で取引されていますし、中古市場でも人気が高いモデルの一つです。もっともフィルムの入手が難しくなって、やや価格も落ち着きましたが。

こう見えても一眼レフ。露出もピントもマニュアルです

それにしても、本当に触っているだけで楽しいカメラなのです。革張りのボディも、折畳みのギミックも、実は一眼レフなファインダーも、ジャキーンとフィルムが出てくる迫力も、どれもが面白く、手応えがあって、いつまでも飽きません。ただ、このカメラ、十分な光がないと、上手く写ってくれません。日中の屋外ならまず失敗はないのですが、屋内での撮影では、普通の蛍光灯くらいでは写りません。フィルムも高いので、光が十分にある所で撮影しましょう。

次のページは、トイカメラ版ポラロイドをご紹介


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