文具王高畑正幸さんインタビュー
子供の頃はみんな文具が大好きだった

文具王高畑正幸さんは、サンスター文具の社員でもあります

高畑正幸さんは文具王です。それは、テレビ東京の「TVチャンピオン」で文具王選手権を三連覇したからではありません。それは、高畑さんが文具王であることを証明する事実に過ぎません。何と言うか、今回、高畑さんとお話していて思ったのは、何とこの人は文房具が好きなのだろうということでした。

高畑さんが作って下さったペーパークラフトの数々

「嫌いになるきっかけがなかったんですよ」という高畑さんの言葉は、要するに子供の頃からずーっと文具が好きで、今もそれが変わっていないということ。「誰でも子供の頃には文具に興味を惹かれる時期があるじゃないですか。それに、僕の場合、父親が技術者だったせいか、子供の頃からオモチャは買ってもらえなくても、道具は買ってもらえたんです。それで、子供の頃から図画工作が得意で、そのままずーっと道具を使ってきたし、道具が好きなままなんです」そんな風に高畑さんはご自身の文具好きについて話されました。そんな話をしながら、愛用のハサミをとり出して作って下さったのが、写真のカブト虫とツリーのペーパークラフトです。

革ケースに入った愛用のハサミで
細かい作業を楽しそうにこなす高畑さんのツリー

文具は安いし、子供が自分で選ぶことが出来る道具の最初のものだし、学校に持っていけるものでもあります。そこで、ノートを綺麗に書こうと考えた少年時代の高畑さんは、それが高じて開くと動くノートなんかを作っていたのだそうです。高校から大学の頃には、文具ブームが来ます。80年代半ばの、システム手帳や「チームデミ」(小型の文具が小さなケースに収まったもの。何故か凄く流行した。ガイド納富も未だに持っている)が流行った時代です。

書き続けた文房具評論コラムがまとめて読める本登場

高畑さんが自費出版した
「究極の文房具カタログ」

その頃から、高畑さんは絵と文章で、それらの素晴らしい道具達についてのコラムの執筆を始めたのだそうです。「ちょうど、大学が千葉大で幕張メッセに近かったんです。そこでISOTという文具の見本市をやってたんで、書き溜めたコラムをまとめて、ISOTに出品している文具メーカーに配ったりしてたんです」と高畑さん。最初のTVチャンピオンへの出場も、大学時代だったそうです。

TVチャンピオンの優勝賞金は、この頃に書き溜めた文具コラムをまとめた自費出版の本「究極の文房具カタログ」の出版のために使ったのだそうです。この本が、凄いんです。文房具の本は色々ありますが、少なくともガイド納富は、この本ほど「文房具を使う面白さ」を描いた本を他に知りません。デザイン論でも文化論でもコレクション自慢でもカタログ本でもなく、とことん使う側の視点で書かれた「良い文房具はこういう風に凄い」という本。

「例えば使い捨てのボールペンでも、明らかに良い悪いがあるんです。だったら、良い方を使ったらいいのに、と思うんですよ。でも、自分が買った車の車種を知らない人はいないのに、自分が使っているボールペンの名前は知らない人がいるんです。だから、まず何が違うのか知って欲しいと思っています。ボールペンでも、まず違いを知ってもらって、その上で、用途や趣味を満たすものを選んでもらいたいんです」という高畑さんのお話を、そのまま本にした名作「究極の文房具カタログ」は完売、入手不可だったのですが、ついに先頃、バージョンアップして出版されました。

「究極の文房具カタログ【マストアイテム編】」(ロコモーション・パブリッシング、1575円・税込)

「究極の文房具カタログ【マストアイテム編】」(ロコモーション・パブリッシング、1575円)が、その本です。いや、これが本当に良い本なんです。例えばパイロットの100円ボールペンの「Vコーン」のどこが凄いのか、何故文具王高畑さんが、このペンを手放せないのか。マルマンのクロッキー帳が、どれだけアイディアを考えるのに役立つのか、カシオの「本格実務電卓シリーズ」が何故、電卓技能検定や簿記検定の受験者に圧倒的に支持されているのか、そんな、身近な道具類の小さな秘密が、高畑さん自身によるイラストと文章で分かりやすく解説されています。そして、その解説一つ一つが、とても腑に落ちるのです。使ったことがある文具だと「そうだよなあ」と納得し、使ったことが無い文具には「ちょっと買ってみようか」と思わせる、そんな「正しい道具の本」なのです。

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