デザインのアクメが機能を求めた意欲作「4FP」
ACME「4FP」5,250円(税込) |
マイケル・グレーブス、キース・へリング、チャールズ&レイ・イームズ、フランク・ロイド・ライトといったデザイナーや建築家のモチーフを文房具に持ち込んだのが、ACME(アクメ)です。その華やかなデザインの筆記具やカードケースは、売り場などでも一際目を引くので、手に取った方も多いと思います。手に取ると、思った以上にズッシリとした質感があり、その重厚な感触とポップなデザインとのギャップは、まるで良くできたミュージアムグッズのような趣です。
ただ、実用という観点から見ると、ややデザイン主導だし、価格もそれなりに高いし、文房具というより、デザイナーの作品的な意味合いが強いため、ガイド納富としては、もらうと嬉しいけど自分で買うかというと考える、というのがACMEの筆記具の評価でした。
ところが、新作の「4FP」は、いつものACMEとは多少趣が違っていました。デザインは、いつものACMEです。ただ、そのデザインもアーティストの名前を冠したものではなく、もっとカジュアルなものになっていました。そして、何より、ペンは心地よい重さで(というか、ACMEとしては決定的に軽く)、しかもとてもスリムなデザインなのです。そして、そのスリムなボディからは信じられないことに、これは4色ペンなのでした。
多機能ペンに必要な機能を考える
ACMEのデザインポイントである中間リングに
各ペン先を選ぶガイドが印刷されている |
4色ペンなどの、いわゆるマルチ・ファンクション・ペンは、かなりスリムになってきたとは言っても、まだ単色ペンと比べると、明らかに太い軸を持っています。軸の中に4色なら4つのペンを収納しているのだから太いのは当たり前です。しかし、この「4FP」(4色のファンクション・ペンだから4FPなのですね)は、これまで見た、どのマルチファンクション・ペンより細いのです。どうかすると、単色ペンより細いくらいです。
といっても、細すぎるわけではなく、普段遣いのペンとしてのバランスの良い細さ。機能は、出したいペンの表示を見ながらノックすると、そのペン先が出てくる一般的なタイプ。ただ、ペンが細いので、ペン先の表示はボディの中ほどにやや大きく書かれていて、見易くなっています。このあたりも、デザイン優先だったACMEの進化が感じられます。
さらに面白いのは、4色ペンの、その4つの機能の選び方。この「4FP」は、黒のボールペン、オレンジの蛍光ボールペン、0.7mmのシャープペン、スタイラスペンの4種類のペンを内蔵しています。最初は、その不思議な選択に「面白いなあ」と思っていただけですが、使っているうちに、この選択は機能的だと思うようになりました。
次のページではスタイラスペンと0.7mmシャープの効果を紹介します。