男の腕時計/その他の国の時計

今年も独自の手法が注目のクロノスイス(3ページ目)

さる10月、ミュンヘン郊外の新社屋落成を祝ったクロノスイス。スイスの伝統的な時計づくりの継承者をもって任じるゲルト・リュディガー・ラング氏が作るこだわりの機械式時計を振り返る。

執筆者:菅原 茂

社屋にもクロンスイスの哲学を体現

さて、クロノスイスのもう一つの話題が、新社屋の落成だ。今年はラング氏がドイツのミュンヘンにクロノスイスを設立してから25年、初のオリジナル時計にして代表作の「レギュレーター」発表から20年の節目を迎えた。わずかひと部屋の工房に始まり、ミュンヘン郊外の工業団地に間借りしていた時期を経て、初めて独立したクロノスイスの社屋の完成にこぎ着けた。

クロノスイス新社屋
ミュンヘン郊外に建つ社屋は、モダンなスタイルが印象的
さる10月1日には欧米やアジアから多数のゲストを招いて盛大なお披露目が催された。社屋は“Zeitpunkt(Point in Time)”と命名され、ここにもラング氏ならではの哲学がよく表現されている。「レギュレーター」をイメージしたフロア設計、バイエルン地域で採れた1億5000万年前の石を用いた床や魚の化石のモニュメント、螺旋階段にラング氏のアンティーク時計を展示するミュージアム、そしてクロノスイスの時計を仕上げる工房でなどである。地下にはジャガーのクラシックカーも並ぶ。

建物は、プラスティック素材をいっさい用いず、石と鉄と木材とガラスだけで作られた。地下水を利用した天然の空調システムも独特だ。人工を排し、天然にこだわるのは、永遠に古びないものに価値を見いだす、ラング氏の考えに基づいているからである。化石もアンティーク時計も、クラシックカーも、そしてクロノスイスの製品も、形こそ違えど、すべて同じなのだ。実際に足を運べば、誰もがその世界が実感できるだろう。

新社屋落成記念として、「インペラトール」と「インペリア」のブラック・ダイヤル仕様や、大型の手巻きムーブメントを使用した「グランド・レギュレーター」も発表された。
クロノスイス「グランド・レギュレーター」
「グランド・レギュレーター リミテッド」。ローズゴールド・ケース。手巻き。価格未定



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