Sクラスと同等の大きな5ドアサルーン
サイズは全長4970×全幅1930×全高1420mm(4S 写真)。価格はSが1374万円、4Sが1436万円、ターボが2061万円。ボディカラーは17色を用意する |
4枚ドアのポルシェを作る。これまでにも何度か計画はあったようだ。最も有名なのはタイプ989と呼ばれるプロジェクトで、その担当者だったのが現アストンマーティンのDr.ウルリッヒ ベッツだったというから面白い。彼もまた、伝統のスポーツカーブランドから4ドアサルーンを世に問うている(もっとも、アチラには既にラゴンダなどの歴史があった)。
マルチドアのポルシェという意味では、カイエンが既に大成功を収めているけれど、純粋なサルーンはこのパナメーラが初。ただし、厳密にはハッチバックモデルだから5ドアサルーンというべきか。最近のヨーロッパ車では、特にプレミアムブランドにおいてスタイリッシュさと利便性を両立した5ドアサルーンが脚光を浴びている。もともと大衆ブランドでは確立されたカテゴリーではあるが。
積まれているエンジンは直噴4.8リッターのV8のみ。将来的にはV6やハイブリッドも用意されるはず。現状では、自然吸気とツインターボの2種類。前者には、FRのパナメーラS、4WDのパナメーラ4Sがあり、2WDには6MT仕様も用意されている(日本未導入)。後者のパナメーラターボは4WDのみの設定。2ペダルは7速ダブルクラッチシステム(PDK)。
ライバルは、マセラティクアトロポルテ、アストンマーティンラピード、M・ベンツS63AMG、ベントレーコンチネンタルフライングスパーあたり。1500万~2000万円超級のラグジュアリースポーツサルーンである。
それにしても、でかい。写真で見てもでかく見えるが、実物はさらにでかい。まだ現物を見たことのない人に向かって、事前にどれだけでかいと言っておいても言いすぎることはないと思う。これだけ言っておいても、もし貴方がまだ未見で明日目撃したとしたら、絶対にこう叫ぶはずだ。「うわっ、でっけーーーっ!!」。
その大きさ、走っていてすれ違ってもでかいと思うし、脇に立ってみればなおさらでかい。寸法で言えば、ベンツSクラス同等の5mサイズだが、既存のLLクラスよりも大きく見える。おそらく、このサイズのサルーンに、これほどスポーティなカタチを組み合わせたのは初めてだろうから、見る方の目の感覚が追いつかないのだと思う。
ポルシェ伝統の5連丸型メータパネルを採用。シフト回りにあるスイッチを押すと排気音がスポーティになるスポーツエグゾーストシステムもオプションで備えた |
インテリアはさらにぶっ飛んでいた。メーター周りこそ911の延長線上にあってポルシェらしいなあと思うが、センターコンソールのデザインが独創的。ギラギラのスイッチがずらーっと並んでいて、ちょっと大層で困惑してしまうほど。少なくとも、直感的に使える類いのものじゃない。このあたり、どこか“馴染みの人しか使えない”高級ホテルや高級ショップ、高級レストランのコンセプトによく似ている。
それでも、よくよく見れば決して面倒なスイッチがいっぱいあるわけじゃないから、まずは落ち着いて一つ一つの役目を確認すればいい。ただし、押しどころに注意。メタリック部分を押さないように。
走行速度が90km/hに達すると自動的に上昇する可変スポイラーを装着。ノーマル/スポーツ/スポーツ・プラスが選択できる電子制御ダンパーシステムのPASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)を装備。スポーツモードを選択するとエンジンやPDKの制御もよりスポーティに変更される |
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