カーリングのストーン
アウディのデザインは、その大きく口を開けた「シングルフレームグリル」ばかりが注目されがちだ。しかし「シングルフレームグリル」のグラフィックばかりでなく、それを形成する立体としての造形、フロントフードからフロントグリルへのたっぷりとした大きなR(曲線)の面にも注目したい。フロントフードとフロントグリルを、はっきりとした別の面で構成するクルマが多い中、S4ではフロントフードがそのままフロントグリルの面に繋がって、エアダム下まで降りていく。「シングルフレームグリル」より、そのフロントフードからフロントグリルへのたっぷりとした大きなR(曲線)の面にも注目したい。 |
そして車幅左右方向にも大きなRを構成し、クルマフロント部が、まるでカーリングのストーンのような形状を形成するのだ。そしてこれはTTから始まった、アウディ独特の造形と言える。そしてこの基本造形があって、初めて「シングルフレームグリル」のグラフィックも活きるのだ。
カーリングのストーンのようなフロント部。長いフロントオーバーハングと長いルーフ、短いデッキ(トランク)、6ライト(窓)もS4の特徴だ。 |
A4と比べてS4のデザインの特徴は、縦線を強調したS専用グリッドパターンのシングルフレームグリル、赤いS4バッジ、サイドのカラード ドアプロテクター、アルミ調ドアミラー、18インチ・キャストアルミホイール、4本の楕円テールパイプ、控えめながらつまんだようなトランクスポイラーだ。
標準のアルカンタラ&本革のレカロスポーツシートは、オプションで本革仕様も選択できる。(画像は本国仕様) 画像提供:アウディ ジャパン |
インテリアの造形は、基本的に先代のマイナーチェンジのため、ナビ画面位置の低さが気になる。この辺りは国産車を見習って欲しい所だ。しかし定評の質感の高さは相変わらず。居心地はいい。
S4のBOSEサウンドシステムについても触れておこう。最近気に入ってよく聞くSOULHEADの「Naked」から、「One More Time」を聞いてみても、その打ち込みのバスドラムもクリアに響き、体に染み込む。音質のいいオーディオは、体も癒してくれる。耳で聞くのではなく、体に入ってくるクォリティー高いサウンドシステムだ。
ナビ画面位置が低いのは残念。視線移動量の少ないより上方がベターだ。ステアリングパッドは、シングルフレームグリルを模したデザイン。(画像は本国仕様) 画像提供:アウディ ジャパン |
S4は小柄ながらハイパフォーマンスと質感の高さを誇る、ギュッと凝縮感のあるクルマだ。だから大型セダンやスーパースポーツカーでは味わえない、一体感を持てる。そして小さくてハイパフォーマンスであるからこそ、インテリジェンスを感じさせるクルマに仕上がっているのだ。
小さくてハイパフォーマンスであることが、インテリジェンスを感じさせるS4。 |
(写真・文 松本明彦)
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