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約1000kmの距離を走ってみて フィエスタの実用性をチェック

欧州でのベーシックカー、フォード・フィエスタが日本上陸。街中をはじめ高速道路など、あらゆるシーンをじっくりと走り込み、中身をチェック。恒例のチャイルドシートの装着チェックも!

執筆者:森山 みずほ


・プロフィール&走りについて

ヨーロッパからやってきたコンパクトカー、それが今回紹介するフィエスタです。
このクルマは欧州で1976年に発表されて以来、30年近くも愛用され続けているクルマ。その4代目となるモデルが、今年4月から日本でも発売されることになったのです。

もしクルマ雑誌などですでにフィエスタの情報をみたことある人なら知っていると思いますが、フィエスタは、マツダ・デミオと約40%のパーツを共有化しています。・・というと、じゃぁ単にデミオのフォード版なの? と言う人もいるのですが、そうではなく、あくまでも企業戦略として一部のパーツを共有化しているだけで、コンセプトや、クルマそのものが持つ個性、味付けはまったくの別物になっています。

そして日本では現行デミオは2002年8月と約2年も前に発表されたのですが、このフィェスタも本国では01年の発表、そして02年から導入されているのです。そう、先にデミオがあって後から開発されたクルマというのではなく、あくまでも両車ほぼ同じ時期に(正確にはフィエスタのほうが時期は早いのですが)、それぞれの国で、それぞれの目的を持って別々に造られているわけです。

さて少し前置きが長くなりましたが、今回はそんなフィエスタを3週間ほど、約1000kmの距離をじっくりと走り込んでみました。

とにかくこのクルマはとてもシンプルで、純粋に“走ること”についてのみ追求した内容になっています。ただ“走ること”と言っても、峠を速く走らせるようなスポーティ走行に特化させているのではなく、走りの基本「曲がる、停まる、まっすぐ走る」をきっちりこなし、ドライバーに限らず、乗員すべてに安心感を与えてくれる中身になっていました。

クルマなんだから、真っ直ぐ走って、停まるのは当たり前、なんて言わない下さい。確かにそうなんだけれど、これほど安心感が高く、しっかり、しかも気持ち良く走れるコンパクトカーというのは少ないものです。

ただフィエスタにはデザイン面で凝った部分や、装備や機能面でのデコレーションは一切ないです。なにしろリアウインドーの開閉はトップグレードであっても手動(オプションでも今のところパワーウインドーは設定されていません)、後席のカップホルダーもなく、給油口も鍵で開けるタイプです。もちろん後席のスライド機能をはじめとしたシートアレンジだってありません。

そしてもう一つ言ってしまうと、燃費も良くなかったです。だいたい平均してリッター8km程度。高速を走ってもリッター10kmいくか、いかないかくらいです。

排気量が1.6lというクルマにしては、ちょっと悪いですよね。なんでこんなに燃費が悪いのか?尋ねてみると、それは「燃費を良くするために走りの性能を落とすことをしたくなかったから」という答え。普通なら「それはただの言い訳でしょ」と思ってしまうけれども、フィエスタの走りを知った後だっただけに、妙に納得させられてしまいました。

例えばステアリングにしても手応えにこだわった油圧パワーステアリングを採用。また高剛性ボディ&安全性にこだわったために、このクラスとしてはとても重いボディになっています。この2点だけでも、燃費には悪影響を及ぼす要因なのですが、燃費よりも安心して走れ、イザという時の安全性をとったということでした。

でも装備や機能面、経済性が優れていないかわりにロングドライブでも疲れないシート、硬めだけど、路面の荒さを感じない乗り心地、そして何よりも、スムーズかつ俊敏で1.6lとはとても思えないほど速く、走りやすいエンジンは持っていました。

フォーカスと同じ、100馬力を発する直4デュラテックエンジン+4速ATという、すごく平凡な組み合わせですが、アクセルを踏み込んだ瞬間の出足、そしてその後の加速感はパワフルで、街中はもちろん高速道路など、どんな場面でもとても走りやすく軽快。元気良くクルマを走らせたい人にとっては、かなり気持ちの良い走りを楽しめます。
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