外電が伝えたところによると、フェラーリ社副社長でエンツォフェラーリの息子であるピエロフェラーリ氏が、フェラーリ&マセラティ連合によるアルファロメオブランド買収に積極的な発言を行っているという。
イタリアの伝統的スポーツブランドであるアルファロメオは、経営危機が深刻なフィアット社にあって唯一売り物となりうる存在。レースシーンでも活躍し、未来戦略にも明るさが残っている。
マセラティを完全傘下におき、経営状態も安定しているフェラーリ社は、自社株の半数を持つフィアット社の経営危機を後目に、株式公開、独立独歩という基本方針を打ち出しており、イタリアを代表するスポーツブランドメーカーとしてアルファロメオはのどから手が出るほど欲しいブランドだ。
実際、アルファの次期型高級グランツーリズモはマセラティクーペと基本コンポーネンツを共有するものとみられ、あながちブランド吸収はありえないことではない。
買収の資金は、いろいろ取りざたされているが、先頃マセラティ社と技術提携を結んだアウディ社、ひいてはVWの存在が否応がでもクローズアップされる。アウディ&VWといえばランボルギーニやブガッティ、ベントレーを傘下におさめているが、ベントレー以外ビジネス的には不安要素が多い。
特にランボルギーニは次作ベイビーランボが失敗に終わるとアウディも手を引かざるを得ないという観測もある(そうあって欲しくはないが)。ならばいっそ、ビジネスとして絶対確実なフェラーリを、というのもあながちうがった見方ではあるまい。
いずれにしても、フィアット社の動向が鍵だ。イタリアの銀行筋は、当面フィアットをイタリアンメーカーのまま維持することを約束したが、一向に回復しない業績に年内中に経営陣の総辞職もありえるという。
さらに、フィアット株の20%を保有するGMの考えも複雑にからみあってくる。GMのフィアットに対する考え方は、消極的、である。
しばらくはイタリアンメーカーの動きに目が離せない。