キレイに磨き上げられたグリーンメタのハチサンニは、眺めている限り、なんら怪しい表情は見せない。端正なフォルム、かっちょいいグリル、ちゃんと動くリアウウィング。不安を感じるとすれば、前オーナーが張り付けた跳ね馬のホイールセンターエンブレムからぐらいか。
早速、納車前の試乗となった。夢にまで出てきた相棒を目の前にして、なぜだか不安で怖じ気づいたA君に代わって、ボクがまずドライブする。その気持ち、少し、ワカル。
ZF製の電子制御サーボトロニックパワーステアリングは、驚くほど軽い。まあ、軽いのはいいんだけれど、ところどころに引っかかりがあってちょっと不安。どんなクルマでもそうだが、据え切りは控えた方が良さそう。
クラッチミートを含めて発進の動作自体は何ら難しいものでない。乗ってきたパンダの方が難しい。低速トルクも意外にあるから、スタートもごくごく優しい。恐れ多いイメージとはほど遠いもの。これならA君でもドライブできそうだ。
ただ、エンジンのレスポンスが鋭いため1速で加速し中途半端にアクセルを戻すと、ドライブトレインが大声を上げて振動する。続けるとそのまま地面に落ちてしまいそうな勢い。前方をしっかり見て、ある程度加速を持続できるとにらんでから、アクセルを踏み込まないとスムーズなギアチェンジができないどころか、精神的にもかなり悪い。