またこれは同時に、今年の東京モーターショーで、カルロス・ゴーン氏が「GT-Rを07年に発表する」というマニフェストを示したことにも納得がいくデータといえる。開発費で00年比の55%アップを果たした現在、日産はとても堅調に復活を果たした。それはGT-Rのようなクルマを作ることが出来る準備が整いつつあることを意味する。
さらに、これまでに送り出された新生日産のモデルを見れば、GT-Rが03年に登場せず、07年と宣言されたのかにも納得ができるはずだ。スカイライン、ステージア、フェアレディZ…という風に新たなモデルが登場してきたが、これらは技術として新しいものを採用したわけではない。言うならばこれらのモデルは、これまでの技術の延長にあるものを洗練させたにしか過ぎない。これは裏を返せば、比較的コンベンショナルな技術でクルマを作るしかなかった…ともいえる。90年代の苦しい時代を経て、2000年に至るまで開発費や設備投資費はかなり厳しい状況。
つまり技術の日産はある意味かなり停滞していたのだといえる。その影響が今登場している新型車に反映されているのだ。特にFMプラットフォームを採用するモデルでは、エンジンやミッション、サスペンションなどほとんどの部分を共用することでコスト削減することに重きがおかれた。新たな技術を盛り込むよりもまず、新たな見た目と魅力が必要とされてきたのだ。
そう考えると、今や絶好調といえる日産といえども、新技術に関して「ゴーン効果」が発揮されるのはこれからなのである。GT-Rというクルマは、その時代の最新技術が含まれているスポーツカー…と考えれば、なぜ03年には姿を表していないかが明白なのだ。
逆にいえば、GT-Rは今まさに新たな技術を投入することで開発されているに違いない。事実日産は今、世の中に胸を誇れるような新技術を磨き上げている途中なのだから。
たださすがに、あと3年…というのは非常に長い時間であることに間違いない。自動車技術は3年でかなり進歩するだろうし、デザインにおいても変化の度合いは技術以上に素早いものであることは誰もが知るところだろう。だからここでは、次期GT-Rはこういうクルマになる、ということは言わないが、現在の日産の好調ぶりからすれば、かなりのものが期待できそうだ。
さらにもうひとつ大切な要素を付け加えておくことにしよう。日産は03年、実に10年ぶりにドイツのニュルブルックリンクで実験ドライバーのトレーニングを再開した。そしてニュルブルックリンク近郊には自社のガレージを確保したのである。これが何を意味するか分かるだろうか? そう、あの901計画の時のような走りの磨き込みがまた行われようとしているのである。もちろんその中にGT-Rが入っていないはずがない。
こうして見てくると、実に様々な部分から、次期GT-Rには期待が持てるのである。
ただし、日本のスポーツカーはGT-Rが姿を現す07年より前に復権を果たすはずである。理由は次期GT-R以外の、日本を代表するスポーツカーが送り出されそうだからだ。それはホンダの次期NSXである。