いよいよ幕が下ろされる。カンファレンス前から既に多くの人が集まりすぎて、後ろの方からだと何だかさっぱり分からない状態。そこで私は、ブースの中央に配されたモニターで「その瞬間」を眺めることにしたほど。
そしてついに、ベールを脱ぐガヤルド。同時に集まった人々から割れんばかりの拍手がわき起こったわけだが、その時私は図らずも、「あれっ? かなりコンサバかも」と思ってしまったのだった。
目の前(いや、モニターの中)に姿を表したガヤルドは、デザインのテイストがかなりムルシエラゴに共通するものだったのである。アウディの傘下となって第一弾のムルシエラゴは、デザイン的にもかなり洗練された形で登場したわけだが、それに次ぐ第二弾となるガヤルドもまた同じようなテイストだったのである。なぜ私がそこまで「あれっ?」と思ったのか? 理由は以前どこかのショーで登場したコンセプトモデルの「CALA」を想像していたからである。非常に有機的なデザインながらも、確かにランボルギーニのそれを感じさせるあのスタイリングが頭にこびりついていたのだ。だからクリーンかつ直線的なラインで、しかもムルシエラゴ同様に、カウンタックの現代版、という表現が相応しいようなその姿に、ちょっと驚きだったのだ。
カンファレンスが一段落して、人が移動を始めた頃、私は初めて目の前で実車を見てみることにした。第一声は「小さい…」。3サイズは4300×1900×1165mmと、ムルシエラゴから比べると一回り小さなボディを持つ。ホンダNSXとさほど変わらない、身近な(?)印象を受けた。しかし、当然ながらこのガヤルドの方がNSXとは比べものにならないほどの圧倒的な迫力を持っている。つまり小さいとは感じながらも、強烈な存在を感じたのだった。
またそういった迫力が、コンパクトなサイズの中に凝縮されていることもあり、逆にムルシエラゴよりもこちらの方が、フォルムとしての塊感が強く、まとまり感がある。ムルシエラゴはサイズ的にどうしても間延びした感じが否めないが、ガヤルドは実にギュッとした感じに溢れていて、走りに一体感がありそうな感じを受けたのだった。それに今更だけど、ディテールを見ていくと、結構心に響く部分があちこちにある。その意味では見れば見るほど味わい深くなるデザインかも。
ミッドシップに搭載されているのは、かねがね噂されてきた新開発の5.0L、V型10気筒ユニットで、最高出力500ps/7800rpm、最大トルク52.0kgm/4500rpmというスペックを誇る。このV10ユニットは6速MTを介して4輪を駆動するわけだが、6速MTは2ペダルを採用するシーケンシャルタイプとされており、操作はステアリングに取り付けられたパドルによって行われることとなる。4輪駆動システムはランボルギーニ・ビスカス・トラクション・システムと呼ばれるもので、前後の駆動力は30:70という配分になっている。
V10ユニットと4WDという組み合わせは、実は時を同じくしてアウディから発表されたコンセプトモデル、ヌヴォラーリとの共通性を感じさせるわけだが、やはり関係はあったようだ。ガヤルドのパワートレーンを前後にひっくり返しツインターボで武装したものが、ヌヴォラーリのパワートレーンになる。
ガヤルドの車両重量は1430kgと発表されているから、パワーウェイトレシオを出してみると、2.86kg/psと動力性能は超一級のものとなる。実際最高速は309km/hと好評されている。さらにガヤルドは、コンパクトなサイズによって高い運動性能も備えているだろうから、その走りにも大いに期待が持てるのである。