ファーストタッチはとても重厚で、このクラスにおける感触の概念を覆すほどの乗り味を提供するのである。
つまりクーパーSとは、その新たなプラットフォームが、いかに高いポテンシャルを持っているのかを証明するグレードである。パワフルなエンジン、ハードなサス、幅広くインチの大きなタイヤを組み合わせても、アラが出てくるどころか一層豊かな感触へと転じてくる辺りがすごい。トップスポーツモデルながらも決して「過ぎた」もののような感じを伝えてこないところが好印象だ。
国際試乗会の会場となったポルトガルのリスボン近郊は、決して優れた路面コンディションとは言えない道路がほとんどである。にも関わらず、クーパーSは「不快」の2文字を頭に浮かばせない。確かにONEやクーパーよりハードなことは分かるし、路面からの衝撃も強く入るのだが、それが身体に記憶されないのは、衝撃を受けたことによるクルマの動きが一発で素早く収束するからだろう。
だから街中を流し、アウトストラーダを巡航している時には、1クラス上のスポーツセダンに乗っているとさえ感じるほど。つまり乗り味走り味には、良い意味での大きさや重さが感じられるのである。
その大きさや重さがネガティブなものに感じられない理由は、もちろんONEやクーパーに対して大幅な性能アップが図られたエンジンによるところが大きい。実際にもこのクーパーSでは、車重もクーパーより重くなりシリーズ中最も重量級となるわけだが、パワフルなエンジンとの組み合わせによってその重さは良い意味での「重み」へと変化する。