イグニッションを捻りエンジンを始動する。レバーをDレンジへ入れると、Dがグリーンに光り、メーター内にあるポジションランプの1番下に、赤いLED表示の数字が表れた。ボディ全体が身震いし、振動が全身へ伝わってくる。しかしエボ7のそれとは少し違う感じが確かにある。
わずかに抑えられ、音も絞られている。右足を踏み込むと、トルコンを介して4輪にトルクが伝達されるのが分かる。当たり前なのだが、Dレンジのままで普通に走ればごくごく普通のクルマである。少しだけ乗り心地にハードな印象があるくらい。だが、一度シフトレバーを左に倒すと世界は変わる。メーター内でグリーンに光っていたDの文字が消灯し、LED表示だけが赤く数字を刻む。
そこからスロットルを床まで踏み込んだ時、一瞬の間を置いてからGT-Aは弾けるようにダッシュし始める。回転の上昇とともに過給が強まり強く前へと押し出される。エボ7と少し違うのは、ターボが過給を始めるまでの間に、猶予を感じることだ。タコメーターの針が5000、6000と上がるに連れ、クルマは勢いを増していく。この辺りになると加速力はまさにランエボのそれになっていくのである。
スロットルを踏み続けると、レッドゾーンを超えてカットオフが働く。つまりシフトアップは自分で行う必要があるということである。シフトレバーを前へ倒し2速へ。レバー自体の操作感はセディアのそれとは違う。重みのある手応えを伴い、シフトする、ということを強く意識させる感のあるものだ。操作するとわずかな間の後にギアが切り替わる。同時に軽いショックを感じるが、これだけの変速時間の短さならばショックは致し方ないだろう。納得のいく制御である。
レバーではなくステアリングスイッチで変速してみる。2速から3速、3速から4速、やはりクラッチがない分、ATは余計な気を遣わず、ステアリング操作だけに集中できる。