デザインだけでも満足できるクルマ

「i」である。名前が短すぎて「」をつけないと見落とされてしまいそうだ。長いホイールベース(前後のタイヤの距離のことね)がつくりだす広い車内。エンジンは前ではなく後ろ。ちょうどラゲッジスペースの床下あたりに収納されている。いわゆるFFでもFRでもない、ミッドシップ。重いエンジンが後ろよりになったことで、ドライバーが乗ったときの前後の重量バランスがよくなり、走行安定性が増す。

さらには、鉄のカタマリであるエンジンが後ろにきたことで、前面衝突時に乗員を傷つけることもなく、安全性にも寄与……と、謳い文句を並べていくとこうなるのだが、私にしてみれば「そんなことはどーでもいいから」だ。

そんなことはどうでもいい。ドラム型の洗濯機がいままでのタイプと違うしくみを持ち、うんぬんかんぬん。スチームで油を落としながら焼く新型オーブンの構造は、ほかとは違ってうんぬんかんぬん。「i」についてあれこれ言うことは、それに等しいと思う。いいじゃない、別に。きれいに洗えれば。料理が美味しくつくれれば。そりゃ大切なんだろうけれど、機械好きの多くの男子にとっては。でも「i」に関して多くの女子に気になるのはメカではなくこのデザインだ。繭のような、卵のような、オマメのようなウサギのような。この愛らしく独創的で印象的なデザインさえあれば、ほかはどうでもいいじゃないですか。

モーターショーの会場からそのまま走り出してきたような雰囲気。運転席に座るとぐっと広く張り出したフロントガラスが明るくて開放的である。ふつうフロントガラスが寝ていると窓枠が視界をさえぎって見にくいものだが「i」の場合はそのあたりはよく計算されていて、交差点での斜め前視界も良好である。ターボが装着されたエンジンは軽快に走る。荷物スペースにエンジンがあるため、エンジン音がほかより大きく耳に届くことは否めないが、けれどそれもまた「i」らしい部分といえばそうなるだろう。

この類まれなる愛らしいデザインを気持ちよく走らせる。「i」についていえば、もうそれだけで満足だ。


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