ちょっと渋めにお洒落に仕立てたハイトワゴン
「全車16インチ採用」。アタマの中に「?」が飛び交った人のために解説すると、1・3Lも1・5Lも、どのラクティスを選んでも16インチサイズのタイヤがくっついている、ということ。じゃ16インチはなにかというと、多少、路面の凹凸でゴツゴツしてせわしなくなろうとも、走る曲がる止まるの基本をスポーティに行えるためのタイヤと思ってもらえればいい。
つまり。コンパクトカーというと一般的には女性狙いで、15インチや14インチといった優しい乗り心地&燃費がいい&ちょっとお安いタイヤになることが多い。しかしラクティスは選択の余地のない「全車」16インチ。それだけちょっと走りにこだわったのさ、という気持ちが伺える。
運転席を見るとハンドルのところにパドルがついていて、これでシフトアップ&ダウンが可能。しかもトヨタF1と同じ雰囲気で、かつ、かの高級ブランド『レクサス』の高級セダン『IS』とも同じものが採用されている(ISユーザーは言うと怒りそうだけれど)。ラクティスは快適に走るためのスポーティ・コンパクトなのである。
走らせて見るとしゃきっとした雰囲気と質の高い乗り心地、使いやすく反応のいいパドルシフトと、いつものごとく及第点のトヨタ・コンパクトである。ラクティスのうたい文句でもある「高速大容量スタイリング」という意味でも、高速で楽しく、ボディサイドのガラス面をできるだけ立てて稼いだという室内空間はそうとうに広く、さらにスタイルもまとまっている。リアシートのアレンジもしやすくて、荷物を載せるには使いやすそうだ。
ただし。もうひとつラクティスがうたっている「オトナ4人が快適に」という部分では、ちょっとだけ疑問。というのもリアシートがいまひとつ小さい。シートアレンジ優先で人間が座ることは後回しにされている感が否めない。
じゃ、このクルマ、誰をターゲットにしているのかというと、トヨタは若年層を狙っているというが、これだけ質がよくて取り回しがしやすくて、走りがそこそこで荷物が積めて、というクルマは、実はリタイヤ&コンパクト回帰組みが好きなコンセプトだったりして。もともとはファンカーゴの後継として出てきたラクティス。リタイヤしたお父様が選ぶにはちょっとスイートすぎるファンカーゴを切り捨て、ちょっと渋めにお洒落に仕立てたラクティスは、団塊のリタイヤを狙っていたりするのである。
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