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新型プラド試乗 プラドに試乗する(2ページ目)

モデルチェンジしたプラドに試乗。SUVブームにもポストSUVにも媚びずに確実な進化を遂げていた。レジャーワゴンとしての走りと極限踏破性の両立が見所だ。

執筆者:川島 茂夫

3.4L車のフットワークは鼻先の重さを感じさせるもの。ハンドリングでも乗り心地でも、挙動に重量感がある。しかし、どちらもルーズではない。2.7L車と比較すれば前輪の負荷が大きくアンダーステア傾向が強くなっているとはいえ、操舵追従性は素直。穏やかながら確実にノーズを回り込ませるタイプだ。S字コーナーでの切り返しでも、激しい挙動が抑えられているので、2.7L車よりも運転は気楽である。

乗り心地でもピッチ方向の動き(縦揺れ)がに神経質な部分が少ないため、挙動全体の動きもゆったりとしたものになる。これが生み出す適度な重厚感が、洗練された味わいを生み出している。

さらにボディタイプによっても異なる。同エンジンでは3ドアのほうが約150kg軽い。また、全長は375mm、ホイールベースは335mm短い。重心高に大きな隔たりがなければ、全長やホイールベースが長いほうが、運動性や乗り心地が穏やかになる。プラドの3ドアと5ドアを乗り比べると、この理屈通りの結果となる。よく言えば3ドアのほうがスポーティだが、快適性や安定性では5ドアが勝っている。

この組み合わせの結果、3ドアの2.7L車が最も軽快な走りを示し、5ドアの3.2L車が最も快適性と車格感に優れている。

ボディの実用性の点から、ファミリー&レジャーでは5ドアを選ぶのが常識的だが、乗り味の点でも適した特性を持つ。予算的には最も高価な組み合わせとなる3.2Lの5ドア車も、走りの味わいからすれば、十分に納得できるわけだ。

なお、付け加えるならば、フレーム式シャシーにリヤリジッドアクスルを組み合わせたクルマにありがちな車軸周りの揺れや歪み感が少ないのもプラドの長所である。グニャグニャした頼りない挙動が、同タイプのクルマではかなり少ない。ハリアーなどの乗用車設計SUVと比較すれば、高重心特有の腰高なコーナリング感覚などオフローダー特有の欠点も感じられるが、これまでの同タイプと比較すれば随分と少ない。オンロード走行主体のレジャードライブでも、けっこういい感じでこなししてしまうのである。

というのが、プラドの走りの概要だが、何で悩ましいかといえば「本格オフローダーだから、一般的なユーザーには無駄」の一言で切り捨てられないからだ。確かに、扱いやすく高い極限踏破性は、多くの人には無用の長物である。一般的な乗用車とすれば費用対効果や燃費などの経済性はよくない。しかし、レジャーワゴンとして使っても、それほど嫌な気分にはならない。もしかすると、このオフロード性能の高さが必要となったり、あるいはオフロード走行を楽しむ気にもなるかもしれない。そんなこんなを考えていくと、一般的には勧められない、でもレジャーワゴンとしてちょっと考えてもみてもいいかもしれない、というジレンマに陥ってしまうのだ。

またまた、「川島は優柔不断」というお叱りのメールを戴きそうだが、多分この悩ましさがプラドの現実であり、SUVブームと共に過ぎ去ってしまうようなクルマでもなければ、ポストSUVに媚びるようなクルマでもない。アウトドアスポーツ&レジャーにも、SUVにも興味がないドライバーは無視してもいいクルマだが、ちょっと引っかかる人は一見してみるといい。ひょっとすると、新しい楽しみや使い方をプラドが膨らませてくれるかもしれない。
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