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余談ながら、取り回しでは最小回転半径の大きさを気にする人も多いが、ロングホイールベースで最小回転半径を小さくした場合は内輪差(前輪に対して後輪が内側を通る)が大きくなる。内輪差が大きいクルマは狭い曲がり角や駐車場での取り回しにかなり影響する。ミニバンでよくリヤフェンダー周りに引っ掻き傷があるクルマを見かけるが、後輪周りの車両感覚のつかみにくさと内輪差の影響も大きいと思われる。
ストリームなど魅力的なクルマだが、居住性と積載性では高く評価できない。スパシオほどではないにしてもステーションワゴン型ミニバンのサードシートは狭く、収納性とスペース効率優先のシート設計を採用するため座り心地もよくない。このタイプは基本用途が4~5名のステーションワゴンと同じ。そこに多人数乗車への対応性を付加したもので、多人数乗車目的で選ぶと、意外と不便なものである。
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しかも、キャビンが広々としているだけに、二人とか三人くらいでは寒々しいくらいスペースが余る。タウンユースでは非経済的なのも大きなハンデである。
結局のところ、多人数乗車を前提にすればモビリオが最も優れたミニバンということになるわけだ。
もちろん、6名以上で乗る機会が少ないとか、主な使用地域にことさらに狭い道がない、等々の諸条件でベターチョイスはその都度変わってくるわけだ。ただ、「ミニバンはレジャーだからキャビンが大きいほうがいい」と短絡して、普段の街乗りに使ったら不便とか経済性が悪いとか、困ったことにならないためにも、生活レベルの視点で細かくチェックしていくことが重要である。