ニーズから見た乗用車の基本といえばファミリーカーである。一昔前ならばセダンがその地位にいたわけだが、今やセダン以上にファミリーカーの象徴となっているのがミニバンである。

沢山の人や荷物が積めれば便利なのは当然である。もちろん、それには走行性能や経済性での犠牲も伴うのだが、そういった部分も一昔前に比べると改善されてきて、多くの人が十分に納得できる水準にある。

ただ、キャビンユーティリティを重視して選んだ場合、問題になりやすいのが狭い道や駐車場での取り回しである。サンデードライブ主体の使い方ならば目立ったハンデとはならないが、休みの日は家族でドライブ/普段の日は奥さんの気軽なタウンユースという使い方では、ボディサイズに起因する取り回しは非常に気になる点である。

代表的なクルマでタウンカーのボディサイズを見てみると。ヴィッツが全長3640mm/全幅1660mm/全高1500mm/ホイールベース2370mm/最小回転半径4.3m。マーチは全長3695mm/全幅1660mm/全高1525mm/ホイールベース2430mm/最小回転半径4.4mである。

一方、ミニバンで最小クラスとなるモビリオとスパシオでは、モビリオが全長4055mm/全幅1685mm/全高1705mm(FF・Y)/ホイールベース2740mm/最小回転半径5.3m、スパシオは全長4240mm/全幅1695mm/全高1610mm/ホイールベース2600mm/最小回転半径4.9m(FF1500) である。モビリオやスパシオサイズの箱を作ればヴィッツやマーチはその中にすっぽりと収まってしまう。やはりミニバン系のボディイサイズは大きいのである。

とはいえ、1.5Lクラスのセダンや大柄な2BOX車と比べれば、全高以外は同等レベルと言ってもいい。タウンユースのスペシャリストというほどの取り回しのよさはないにしても、コンパクトセダン並みのサイズならばタウンカーとして問題はない。

ただし、ゴンドラ式あるいはパレット式の立体駐車場の場合は、2BOX車やセダンよりも10~20cm高い全高が大きな問題になる。一般的に1550mm以下の全高ならば立体駐車場の90%以上が使用可能であり、1.6mを超えなければ何とか入れられることがある。しかし1.6mを超えてしまうと、かなりの立体駐車場で使用制限を受けることになる。立体駐車場で使用制限を受けないミニバンを探している人は、残念ながらその要望に応えるクルマはないのが現状である。

タウンユースにも使いやすいミニバンとしてはモビリオとスパシオが筆頭になるわけだが、ミニバンとして使い勝手が良いかは、また別の問題である。この2車についてはガイド記事のバックナンバー「似て非なるモビリオとスパシオ」を参照してもらいたい。スパシオについてはトヨタのサイトにおける車種分類では2BOXになるなど、トヨタ自身もミニバンを明言しているわけではない。つまり、7名乗車にも対応できる2BOX、あるいはコンパクトワゴンなのである。サードシートは緊急用以上の実用性はなく、子供でも窮屈なサイズである。


モビリオは大人6名が長時間過ごすに十分な居住性を確保。名実ともにミニバンといえる。このタイプでは1BOXミニをグレードアップしたアトレー7やエブリィ・ランディなどもあり、小さな6~7人乗りが欲しければ、この辺りが狙い目である。

ただ、上級の1BOX型ミニバンのような多彩なキャビン機能はない。基本的なキャビン容量にあまり余裕がないため、大きな荷物あるいは沢山の荷物を積む時には工夫も必要となる。駐車している時に着替えや工作等々色々と使えるフリースペースとしても余裕がない。設計面でも、多人数乗車とシート機能の充実が主な特徴。他の機能については「使おうと思えば使える」程度と考えたほうがいいだろう。