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マカオで感じた日本人ドライバーの可能性(4ページ目)

未来のF1ドライバー候補生達がバトルを演じたマカオGP。5人の日本人が参加したが終わってみれば、表彰台は外国人が独占。はたして、日本のF1候補生達に未来はあるのか?

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

ゼロからのマカオ、孤軍奮闘した塚越広大。

決勝レースのコースインでは誰よりも早くマシンに乗り込み、集中を高めた。
塚越広大は次世代F1ドライバーとして、最も大きな期待を背負っている19歳だ。

塚越は昨年、フォーミュラドリームを全戦全勝で制し、鳴り物入りで全日本F3に参戦した。

しかし、フル参戦となった今年は意外なほどに苦戦し、シリーズランキングも5位となり、マカオ参戦の道は絶たれてしまった。本人にとってふがいないシーズンとなってしまったが、塚越が所属するARTAのサポートにより、イタリアのプレマ・パワーからマカオGP参戦を果たした。

塚越が全日本F3で1年半乗ってきたマシンは日本製の童夢シャシーに無限ホンダエンジンの組み合わせである。しかし、プレマ・パワーのマシンはユーロF3で主流のダラーラシャシーにメルセデスエンジンの組み合わせとなる。同じF3と言えども全くマテリアルの違う環境で、塚越がどんな走りをするかに注目が集まった。

中嶋一貴らを抑え、山側のコースを走行する塚越広大。
(写真:Yoshi KITAOKA)
塚越は予選こそ平凡なタイムであったが、予選レースではスタートに成功し、3番手でリスボアに進入した。その後は順位を落としたものの、スーティルらの強豪を押さえ込んだりする粘り強い走りはいろんな意味で成長した塚越を印象付けた。

プレマ・パワーはかつての名門であるが、ここ数年はチーム力の低下が著しい。マテリアルの違いなど様々なマイナス事項がある中での戦いながら、1度きりのテストを経験しただけで塚越は素早くマシンに順応し、期待以上の走りを見せてくれた。

まだあどけなさの残る塚越だが、会う度にトレーニングの成果が出て大人の肉体になってきている印象だ。精神的にも成長を続けている。
最後はクラッシュでリタイアに終わったが、「来年に向けての練習」という意味では実に内容の濃いレースを見せてくれたと思う。塚越は来年もマカオに参戦するだろう。当然、F3選手権にレギュラー参戦を計画していることになるが、全日本に限らず海外でのF3参戦もあり得るかもしれない。来季の体制発表が今から楽しみである。



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