スーパー耐久シリーズ(S耐)に昨年デビューして苦戦を強いられたものの、今年はクラス3で開幕から5連勝と大活躍中のフェアレディZ。このZが、ポルシェのワンメイク状態であるクラス1にステップアップするという噂が流れた。さらに8月に行われた鈴鹿1,000kmレースに新車が投入されたこともあり、この車両が来年のクラス1参戦をにらむ開発車両なのではないかと話題になった。
NISMOの関係者によると鈴鹿1,000kmへのZの投入は、十勝24時間においてトラブルの発生したパーツの改良確認、そして熱対策が主な目的だったという。さらにGT500車両を参戦させることができなかったために、黒澤治樹、柳田真孝、星野一樹という二世ドライバーをそろえた。また新車を投入したのは、現在S耐に参戦しているZはチャンピオンを争っていることもあって、テストレースでは使用したくなかったようだ。
実際に現状のクラス3のZとクラス1のポルシェの性能差は歴然。そもそも昨年まではあのスカイラインGT-Rが苦戦をしたのだし、エンジンパワー、駆動系、ブレーキ、タイヤサイズにおいてもポルシェがZを相手にしていない状態だ。
ではZにターボをつけることは?
S耐では特認車両の参加が認められているので、NISMOがターボモデルでも発表すれば、登録車両にならなくても参戦は可能。しかしそこまでしてクラス1へ移行しても、ポルシェとバトルできるようになったころには、恐らく次期GT-Rがデビューしてしまうのではないだろうか?
NISMOのスタッフのひとりも、「来年からクラス1に行くというのは時間的に無理」と苦笑した。「もしクラス1の改造規定が狭められて性能の差が縮まれば考えられないこともありませんが、それよりもクラス3でチャンピオンを取って、ユーザーを増やすことが大事でしょう」
今年はクラス3で無敵の状態に見えるZだが、ライバルのミスにも助けられている感が強い。ニッサンファンとすれば総合で優勝争いをするZの姿を見たいのかもしれないが、クラス3におけるバトルも非常に面白い。特に直線番長のZ、全体的にスムーズなNSX、燃費に勝るM3、さらには予選が強いターボモデルのRX-7など特色を持った車両の戦いは他クラスではなかなか見られない。今季終盤、そして来年もクラス3をチェックしてみることをおすすめしたい。