JGTCは3月30日に岡山のTIサーキット英田で5万5000人ものファンを集めて開幕した。前日の予選でコースレコードを唯一マークした#23GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)が、実に8年ぶりのPPを獲得。これに#38スープラ(竹内浩典/立川祐路)、#16NSX(伊藤大輔/トム・コロネル)、#1スープラ(脇阪寿一/飯田章)が続いた。ところがパレードラップの最中に#38スープラはギヤボックスのトラブルでストップし波乱のスタートとなった。
82周の決勝。スタートを決めて#23GT-Rに続く2位に上がったのは、予選6位の#25スープラ(荒聖治/ジェレミー・デュフォア)。やがてこの背後に#1スープラ、#39スープラ(ドミニク・シュワガー/織戸学)が追いつき、4台によるトップ争いが展開された。しかし#39スープラはラジエタートラブルで戦線離脱。#23GT-Rもタイヤに厳しいようで#25スープラにトップを奪われるとたまらず37周目にピットイン。このときNISMOチームは絶妙なピットワークを見せる。今年から給油中のタイヤ交換が禁止になったため、まずフロントタイヤを交換して給油、その間にタイヤマンが移動してリヤタイヤを交換するというもので、タイヤマンの移動時間数秒が短縮できるというものだ。
中盤に各車がピットインを終えた時点で、トップに立ったのは#23GT-R。しかし周回遅れとなる#35スープラが#23スープラをブロックしたことで、#1スープラが背後に追いつき逆転。ところが#1スープラはタイヤかすを避けようとして単独スピンして脱落。難なく#23GT-Rがトップに戻るが、今度は#25スープラが追いつく。そしてテールtoノーズになった70周目の最終コーナーで、#25スープラはバックマーカーと接触して後退。これで#23GT-Rが逃げ切るかと思われたが、#1スープラが驚異的な追い上げを見せ75周目に再逆転してこのままチェッカー。3位には#18NSX(道上龍/セバスチャン・フィリップ)がゴールした。
次の富士は今回速さを見せたGT-Rが全車03モデルに切り替わる。また高地のサーキットのためスープラやNSXなどNAエンジンには吸気制限が緩くなる。第2ラウンドも見逃せなさそうだ。
いっぽうGT300クラスは、03年型エンジンを搭載して軽量化したタイサンのポルシェ勢が好調で、予選では#24ポルシェ(余郷敦/浅井亮博)がPPを獲得し、#26ポルシェ(山路慎一/西澤和之)が4位に。昨年チャンピオンを獲得した#31MR-S(佐々木孝太/後藤聡)が2位。注目されたニューカマーでは、#3フェアレディZ(木下みつひろ/柳田真孝)が3位、昨年のチャンピオンコンビが駆る#43ガライヤ(新田守男/高木真一)が5位。国産車で唯一トランスアクスルを採用した#77インプレッサは、予選中の規定違反でベストタイムを抹消され10位となった。
決勝は#24ポルシェが序盤から独走状態となり、これを#26ポルシェ、#31MR-S、#2NSX(渡辺明/高橋一穂)、#3フェアレディZ、#43ガライヤが追う展開に。ルーティンピットインが終わると、#2NSXがトップに立っていたが、ここに#26ポルシェ、#24ポルシェが追いついた。そして59周目のヘアピンで#26ポルシェが#2NSXをかわそうとして接触。#2NSXがスピンして#26ポルシェのペースが落ちた脇を、#26ポルシェがすり抜けてトップを奪った。このまま#26ポルシェはトップを譲ることなくチェッカーを受け、タイサンポルシェが1-2フィニッシュを飾ることになった。なお浅井は今回がGTデビュー戦で、うれしい初優勝となった。3位は終盤に#2NSXを逆転した#31MR-Sだった。