破綻かチャプター11しかないだろう

世界最大の自動車メーカーであるGMが、いすゞの株を全て手放すという方針を打ち出した。あまり知られていないことながら、GMといすゞの付き合いは長い。単にトラックを供給しているだけじゃないのだ。

ポーランドにあるいすゞのエンジン工場でGM系の自動車メーカー向けにディーゼルエンジンを生産したり、『マークルーザー』というGM系ブランドで販売している船舶用エンジンまで手がけているほど。富士重工やスズキ自動車よりかるかに長くて強い関係を持つ。GMにとってみればトラックとディーゼルエンジンの重要な開発&供給部門なのである。加えて最近はいすゞの業績も上がってきており、手放す理由を探せない。

なぜGMは持っていても困らない株を手放すのか? これはスズキ自動車にも言えること(富士重工についちゃ持っていてもメリットがなかったと思う)。公式なコメントを読むと「北米市場の建て直しに使う」。ちなみにいすゞの株を売って得られる金額は約380億円。GMの有利子負債、30兆円とも言われているので、焼け石に水といったイメージである。

「自動車を開発&生産して販売する」というGMの企業形態を考えれば、むしろ優れた技術や生産拠点を持ついすゞの株は持っているべき。逆に考えると、380億円でさえ今のGMにとって必要なキャッシュだということか? スズキ自動車の鈴木修会長も「GMがそんなに困っていると思わなかった」とコメントしていた。

今後GMはどうなるか。ここまで来たら非常に厳しい。現状で赤字の増加が止まっておらず、このままだと有利子負債増える一方。資金を調達しようとしても、すでに企業格付けは「投機的水準」。つまりダメになってしまう可能性大きく「投資するなら高い金利を取るべき」と認定されてしまっている。大手格付け会社『ムーディーズ・インベスターズ・サービスは』3月29日、投機的(ジャンク)等級にあったGMの格付けをさらに1ランク引き下げた。他の大手格付け会社も同じ傾向。個人に例えれば、銀行だと貸してくれず、金利の高い消費者金融に行くレベルだということ。

残る方法は二つ。日産が破綻寸前だった時のように(とはいえ有利子負債はGMの10分の1)、思い切ったリストラを断行する作戦。この場合、北米市場で大ヒットするモデルを3~4車種作らなければならないという大きなハードルを超えなくちゃならない。二つ目が米連邦破産法第11条の適用を申請するという方法。いわゆる「チャプター11」と呼ばれているもので、日本の破産より緩い。

ノースウエスト航空などチャプター11になったが、翌日も普通に運行されてました。外部からの協力を得やすくなる大規模なリストラだと考えればいいと思う。今や「年内にチャプター11を申請するだろう」と考えている業界関係者は少なくない。
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