MITSUBISHI(三菱自動車)/三菱

窮地を救う「魅力ある新型車」の開発に期待! 三菱自動車の再建策について

三菱自動車の再建策が5月21日に発表された。詳細な内容を見ながら分析してみたいと思う。再生へ向けての大きなテーマは三つ。「コスト低減」に「魅力ある新型車の投入」、そして「品質の確保」だ。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

 三菱自動車の再建策が5月21日に発表された。詳細な内容を見ながら分析してみたいと思う。三菱自動車再生へ向けての大きなテーマは三つある。「コスト低減」に「魅力ある新型車の投入」、そして「品質の確保」だ。それぞれどういった対応をしているだろうか? 再建案で最もダイナミックなコスト低減策から解説しよう。コンセプトを簡単に表現すると「縮小均衡」だと考えていい。今より小さい会社規模にし、少ない販売台数で利益上がるようにする、ということ。自動車メーカーの場合、工場と従業員数を減らすことを意味する。具体的には岡崎にある本社工場とオーストラリアのエンジン工場を閉鎖し生産能力を17%削減。

 従業員数も2万6400人から2006年3月に1万8800人(30%!)まで減らす。驚くべきは開発部門とテストコースを併設する三菱自動車の本拠地というべき岡崎の工場を閉鎖するという点。この工場、世界で珍しいフレキシブルライン(同じ生産ラインで何車種も作れる)を持つなど特徴的だったのだけれど、オーストラリアの車体組立工場や、三菱自動車が雇用をささえている水島工場など地元の関係で閉鎖出来ない生産拠点もあることを考えれば仕方ないかもしれない。また、昨年5月に新装なった品川の本社を広報部など東京じゃなければ機能しない部門を残し、京都に移すと発表された。これで本社も30%の人員を削減する狙い。

 「品質の確保」は、ダイムラークライスラーからエクロート社長が送り込まれてきた時から大きなテーマになっていたけれど、残念ながら目立った進捗を見せておらず。強いて言えば衝突安全性の実力アップくらいだろうか。またしてもトラック部門のリコール隠しが明らかになる中(まだまだあるかもしれない)、この点が大きなハードルになる可能性大。相当真剣に取り組まないとユーザーからの信頼を取り戻すのは難しいと思う。ただ自動車会社の場合「魅力ある新型車」さえ出てくれば何とかなる。ということで売れるクルマを作ることが三菱自動車再建に向けて最も重要だと考えていい。と、書けば簡単ながら、とても難しいことである。
 この点、気になったので三菱自動車筋に聞いてみると「デザインは今までと全く違ってくるし、来年3月までに4モデルを。次の1年で5モデル出すなど集中的に取り組みます」。当然ながら今までのブーレー顔は取りやめ。商品企画も根本的に見直すそうな。期待できそうな雰囲気だった。「止めたら明るいニュースが一つも無くなってしまう」と危惧していたWRCへの参戦は、プレスリリースに無いものの、嬉しいことに継続という決定。しかも予算的な減額をしないということだから、最終戦までランサーの姿が見られるワケ。パリダカの参戦も継続されるようだ。さらに詳細な情報が入手でき次第、追加レポートをお届けしたいと思う。
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