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道交法の厳罰化について

道路交通法の改正案が6月13日に国会を通過。1年以内に施行されることとなった。スピード違反や駐車違反についての罰則強化は今回見送られている。改正案の内容は飲酒や無免許運転、ひき逃げの罰則強化であるけれど、その前に取り締まりの強化を行うべきででなかろうか。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

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警察は交通違反の罰則強化のための法案を国会に提出。6月13日に通過し、1年内に実施されることになった。なぜ罰則の強化か?

キッカケは東名高速でトラックが乗用車に追突し(ドライバーは泥酔状態)、尊い2名の幼児が亡くなるという1999年の事故にある。一般常識からは、かけ離れたことであるけれど、今回のような事故でドライバーが受けるペナルティは最長5年間の懲役刑。しかもこの事故では1年間情状酌量となり、刑期4年になったのだから驚く。確かに罰則強化するのは当然のことのように思う。

サービスエリアで多量の飲酒をし、扱いようによっては非常に危険な大型トラックのハンドルを握ること自体、すでに常軌を逸している。なのにクルマの運転をしている、という理由だけで『業務上過失致死』になってしまうのだ。一般常識からすれば、泥酔状態になったら業務とは言えまい。法律的には飲酒して運転することを許していないのだから。これはもう業務上での過失でなく、お酒飲んで通りがかりの人を殺したのと同じじゃなかろうか。

もっと腹立たしいのは情状酌量。飲酒をし、高速道路の料金所で酒臭いからと注意されている。なのに運転を続け、2人殺してしまったのだ。ウッカリしたミスなら情状酌量も解るが、今回の事件で酌量する事情などあるのだろうか?

被害者の親御さんは怒り心頭だけれど、それは当然のことだと思う。その怒りを収めるために作ったように思えるのが、今回提出された道交法違反の罰則強化だ。飲酒や無免許、ひき逃げに対する罰則を強化しようという内容。同時に検討されていたスピードと駐車違反などに対する罰則強化は見送られている。

いわゆる厳罰主義である。でもその前にやることがあるのではないか?先日も地方の居酒屋で一杯飲んだ。なんとその居酒屋、店の前に大きな駐車場がある。皆さんそこまでクルマで来て、そのまま乗って帰るのだ。警察だって承知のハズ。なのに取り締まらない。店の前で待ちかまえていればドンドン検挙出来ると思うのに。ちなみに酒酔い運転の減点は15点で一発取り消しの対象。前歴あれば聴聞会でも取り消しになってしまう。2度続ければ間違いなく取り消しで、公共の交通の便が悪い地域ならさぞ不便だろう。

高速道路のサービスエリアでお酒を飲んでいるシーンもよく見かける。これだってサービスエリアの出口でしっかり取り締まればいいと思う。12点減点はトラックドライバーにとって死活問題だ。なのに取り締まっているのを見たことがない。お願いだから取り締まりをして下さい。少し考えれば事故防止は罰則強化でなく、取り締まり強化の方が効果があることが解りそうなもの。このところ警察に対する風当たりは強いけれど、本来の仕事は国民の安全を守ること。しっかり役目を果たしていただきたいと強く感じる。

暴走族の取り締まりも同じ。現行法で十分に取り締まれる。なのに迷惑受けている住民が通報してもなかなか来ない。来ても見てるだけ。クルマやバイク、パーツが盗まれたからと届けても、本気で対応してくれたという話は聞いたことがない。こういったことを、しっかりやった上で「罰則を強化させて欲しい」というなら解るけれど、今のまま権限をさらに強めるなどできっこない相談。もし忙しい、というのなら、それこそ国会で警察官の増員を検討したらいかがか?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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