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イブ・サンローラン氏、引退を発表 最後のメッセージは、LOVE(2ページ目)

2002年1月7日、世界的デザイナー、イヴ・サンローラン氏が引退を発表した。その偉大な業績のなかで、真に革命的だった‘60年代にスポットをあてる。

執筆者:森田 剛


The Universe of Fashion

他にも『サファリ・ルック』や『白と黒』のバイカラー、女性にタキシードを着せる、『ダンディズム・スタイル』など、今ではあたりまえに受け入れられているスタイルも、サンローランが最初に提案したもの。

オートクチュール(注文服)からプレタポルテ(既製服)へと移行してゆく時代をダイレクトに体験した三宅一生氏は、次のような発言をしている。
「1968年のパリ革命で私は自分の信念を確信し、それが本物だということを知りました。それ以前は、ファッションなんていうものは特別の人々や特別のものだけに属するものだと考えられていましたが、私はそんな一部の人たちだけのものにしたままでよいのか、と疑問を抱いていたわけです」

その、ポップに大衆化してゆくファッションを、リヴ・ゴーシュ(セーヌ左岸)のショップから、先験的に発信していたのがサンローランだったと言えるだろう。
その点が職人の伝統工芸に支えられパリの貴族的な価値観に育まれたエルメスやルイ・ヴィトンといった老舗ブランドと異なっているところではある。

既成の常識を覆すようなファッションを次々と生み出し、前衛アートと衣服を結び付け、一部の上流階級のために、ではなく「世界一美しい」と言われた映画女優(カトリーヌ・ドヌーブ)のために服を作っているのだと公言したイブ・サンローランという存在は、「モードの帝王」であるのと同時に、やはり特別にキッチュなデザイナーなのだと思える。
そしてこのルックス(!)本人のヌードにべっ甲眼鏡の広告写真が、また最近サンローラン・ジーンズに使われたりして、見た人も多いと思うけれど、いまだに神経質そうなナードっぽい雰囲気は健在で、恰幅のいいイタリアの大御所デザイナーと較べると、まるでポップスターみたいなサンローランはカッコいいな、と思ってしまう。


A Biography

つい最近まで、サンローランというブランド、YSLマークには、パリの重厚なエレガンスブランド、ぐらいの認識しかなかった。
自分が同時体験できたのは、パンク・ファッションよりも後の、ボロ・ルックから。その頃にはもうサンローランは帝王(大御所)として君臨する(権威)だった。セックス・ピストルズが(既成)として攻撃したローリング・ストーンズのような存在、と言えるのかもしれない。

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