来たる2002年の干支(えと)は午(うま)、そこで、
「『エルメス』と(馬)についてのクローズアップを」
と、『ALL ABOUT JAPAN』のプロデューサーからの依頼を受けた。

馬具製造業としてスタートしたエルメス社は、現存するブランドでは、おそらくもっとも長い、160年もの歴史をもつ。
『エルメス』と(馬)というのは、いわばブランドの本質に関わるテーマなのだと思う。

たとえばエルメス社が、日本の漫画文化に着目し、出版された『エルメスの道』(竹宮恵子作、中央公論社)では、エルメスサイドから提示された描き手の条件として、「馬に乗れる人である事、馬が描ける人である事」が第一条件であったらしい。

これなどは、馬というモチーフがいかにエルメスにとって重要か、伝わってくるようなエピソードではないだろうか。

個人的に、エルメスと馬との深い繋がりをリアルに感じたのは、やはりこのブランドのアイテムを手に入れた時だった。

現在のところ我が家が所有する唯一のエルメスは、『AMAZONES』と名づけられた一枚のスカーフ。
これは結婚する時に、私の母が妻にプレゼントしたもの。

カレ(正方形)と呼ばれるこのスカーフを手に入れるまで、エルメスというブランドは、どちらかといえば自分とは遠い存在という感覚があった。スチュワーデスやコンサバ系の大学生~OLが身に着けているスカーフやバッグのイメージが強かった。

実際に手にとって、仔細に眺めてみると、驚きの連続だった。
配色の絶妙さ、まるで水彩画で描いたような色の濃淡、そして、絵の中の人物や馬たちの独特な雰囲気・・・けっして誇張ではなく、何時間見ていても惹きつけられて、飽きる事がなかった。

 

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