色の寒暖感を利用する
前回コラム「夏のディスプレイを考える」では、色の寒暖感のお話をしました。色には暖かさを感じさせる「暖色」と、寒さを感じさせる「寒色」、どちらともつかない「中性色」があり、演出したいイメージに合わせて使い分けることを提案しました。
夏は、「暑さ追求」派には暖色、「涼感ほしい」派には寒色という使い分けをしました。さて、冬の場合はどうでしょうか?
寒さを追求したいという人はめったにいませんから、多くの人が「暖かさ」つまり「暖色」を求めていると思ってよいでしょう。冬で「寒色」を使う場面は、雪や冬景色を表現したいとき、たとえばスキー用品や防寒具の背景に用いると、商品をより魅力的に見せることができます。
[ 暖色 ]
暖かさや温もりを感じさせる色。 赤~橙色~黄。
暖色と寒色では、体感温度に3度程度の違いが出るといわれ、冬は暖色を使った方が、寒々とした寒色を使うよりも店内が暖かく感じられ、暖房費を節約することができます。
暖房器具やカイロなど、じんわりと温まる様子を表現する場合は、上の配色のようなだんだんと色を変化させる「グラデーション」、さらに色の境目をなくした「ぼかし」が効果的です。
冬は、鮮やかな赤だけでなく、暖色の中の暗い色-ブラウン系も、レンガや毛皮の暖かいイメージを連想させます。レンガ風に暖色の濃淡でランダムに配色したり、毛皮風にふさふさした感じの細かな曲線のグラデーションで配色したり。このように商品の色から配色のヒントを見つけ出すという方法もあります。
[ 寒色 ]
寒さや冷たさを感じさせる色。青緑~青~紫みの青。
「寒色」は、「白」「シルバー」「グレー」などをプラスして雪や冬景色を表現。
[ 中性色 ]
どちらでもない中間の色。黄緑~緑。青紫~赤紫。
「中性色」は、暖色に少量挿入すると暖色寄りに見えるという性質があります。
暖色に中性色の赤紫を挿入。
冬は夏と比べて、コントラストの強弱や色の派手地味感の影響は少なく、主に色の寒暖感によってイメージが左右されます。