カラーコーディネート/カラーコーディネート関連情報

お店の色 その1 売れる色、買いたくなる色

どんな色をどこに配置すればよいのか?魅力的なディスプレイのための色彩計画のポイントとは?

執筆者:細谷 美千代


■コレ!という一色を選ぶ

「売れる色、買いたくなる色は何色か教えて下さい。」よくある質問ですが、その前にまずお店の姿勢をお客様に示しましょう。コレ!という色を一つに絞り込むこと。お店で一番目立つ場所に置きたい色を決めてください。

これがなかなか難しいんです、とおっしゃるかもしれませんが、何の秩序もなくバラバラに色を置くのは、すべての絵の具を混ぜたことと同じ。全体に濁った乱雑な感じに見えてしまいます。

●ヒント1 ターゲットの「好みの色」。年齢や性別によって好きな色が違う。たとえば、低年齢児は明るく色みの強い色を好み、ティーンズは色みを少し抑えたパステルカラーや大人っぽく見える黒を好む。大人になると個人差が広がり、ライフスタイル等から好みの色を探る必要がある。

●ヒント2 「流行色」で季節感や新鮮さをアピール。その業界の流行色だけでなく、他業種の流行色にも注目すると社会全体の流れが見えてくる。日本流行色協会(JAFCA)のサイト、刊行物、カラーセミナーが参考になる。

●ヒント3 ショッピングは一種の非日常的行為でもある。衝動買いしたくなるような冒険的な色、わくわくする「刺激的な色」はアレッ!?と好奇心をそそる。

■カラーグループを作る

最初に選んだ色と似た色、つまり微妙な色違いでまとめた「中心グループ」を作ります。同じピンクでも赤紫っぽい色と青紫っぽい色、濃い色と薄い色がありますよね。次に「引き立てグループ」を作ります。

●ヒント1 「明るい:暗い」「鮮やか:鈍い」「補色」「色つき:モノトーン」「色柄のコントラストが強い:弱い」など正反対の性質にすると簡単。

●ヒント2 「引き立てグループ」に「定番色」=見慣れた色、よく使う色を入れ、安心感、信頼感を与える。定番色はコンスタントに売れるためはずせません。

●ヒント3 両者の割合にうんと差をつける。「中心:訴求色」を少量のアクセントカラーにする。または「中心グループ」の両脇や間に少量の「引き立て色」を置く。

■店舗の空間全体を考える

手前を明るく鮮やかな色に、奥を暗く青い色にすると奥行きが、下方を暗く上方を明るい色にすると高さがでます。近くのものははっきり、遠くの山はぼんやりと青みがかって見える現象、地面と空の関係を利用したテクニックです。色のリピテーション(繰り返し)やグラデーションなど、リズミカルな流れを作って店内全体にお客様を誘導しましょう。

店舗の内装やディスプレイは、インテリアの色に相通ずるものがあります。商品の用途や目的、ブランドイメージで色を統一するのも一つの手です。

色の基礎知識を学ぶと、あなたのオリジナル配色アイデアがどんどん湧き出てくるでしょう。興味のある方は、この機会に色彩検定にチャレンジしてみてはいかが。3級程度なら比較的取得しやすく、2級以上なら実務への応用が期待できます。

今回は全体像をお話しました。次回また別の視点からお話を続けたいと思います。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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