ため息が出るほど美しいモードの芸術品
(左)CIAO-CI-SAN Embroidered off white silk gazar wedding dress (右)CEE-SHI-SAN Embroidered yellow crepe dress with embroiered green caot |
今回展示されているオートクチュールは、ガリアーノが昨年秋に訪れた日本がインスピレーションソース。祇園の芸子や舞妓、歌舞伎、華道などといった日本の伝統的要素からインスパイアされて、コレクションを完成させました。
2007春夏オートクチュールコレクションのショーのフィナーレでは、西洋人の目から見た日本のもう一つの姿を象徴する、プッチーニの歌劇「蝶々夫人」を取り入れました。1984年にマルコム・マクラーレン(音楽とファッションを結びつけ、イギリスのファッション、カルチャー、ミュージックのトレンドセッターであり、優れたプロデューサ-として君臨した人物)が発表した「マダム・バタフライ」を題材にした作品に触発されたガリアーノは、コレクションの衣装を通して、蝶々さんとピンカートンの物語を表現したのです。
これらのオートクチュールドレスは、ジャポニズムを表現しているため、ドレスの名称にもSAN(さん)と敬称が付けられている点に、ガリアーノ自身のユニークな視点がうかがえます。
■CIAO-CI-SAN(左のドレス)
シルクオーガンジーのウェディングドレス。全体が折り紙で折られた鶴で体を包み込むようなエキゾティックな作品。
■CEE-SHI-SAN(右のドレス)
着物を思わせるコートの下に、大輪の花の刺繍が施されているクレープ地ドレス。胸元には、生地を帯のように折り込んだ飾りが付けられています。
(左)SAKURA-SAN Embroidered lilac wool and silk dress (右)KOJI-SAN Embroidered ecru straw evening dress |
■SAKURA-SAN(左のドレス)
帯を連想される大きなドレープを施したワトーバックのストラップドレス。裾にはライラックカラーの折り紙の要素が取り入れられています。ライラックは、ムッシュ ディオールのミューズであった、エレガンスを極めた女性、ミッツァ・ブリカールが好んだ色として知られています。
■KOJI-SAN(右のドレス)
鯛の柄が刺繍で描かれた麦素材のイブニングドレス。プッチーニ歌劇のヒロイン、マダムバタフライがピンカートンに出逢う以前の素朴な生活をイメージしてデザインされたもの。
(左)CIAO-CI-SAN Embroidered off white silk gazar wedding dress (右)YUM-YUM-SAN Hand painted and embroidered coral silk evening dress |
■CIAO-CI-SAN(左のドレス)
先にもご紹介したシルクオーガンジーのウェディングドレス。ボリューム感のあるバックスタイル。背中部分にも、折り紙で折られた鶴の要素が取り入れられています。
■YUM-YUM-SAN(右のドレス)
手染めシルクのバレリーナ風イブニングドレス。首元の着物の抜き襟のようなディテールが目を惹きます。鮮やかな色彩のコントラストに、金糸の刺繍によるトンボと花の模様が一層美しさを際立てています。
モデルのメイクを手掛けているのは、ガリアーノのショーを担当するトップ・メイクアップ・アーティスト、パット・マクグラス。インスピレーションは歌舞伎役者の所作、髪型、化粧、白塗りの顔。ガリアーノのコレクションでは、アーティスティックなメイクも注目すべきポイントとなっています。
以上、お伝えしてきたオートクチュールのドレスの数々は、ただいま期間限定で日本で実際に見ることができます。次のページで展覧会の詳細をお伝えしますので、お見逃しなく!
次のページで、メゾン設立60周年を記念して発売されたアニバーサリーブックをご紹介! また「展覧会はいつまで、どこで開催中なの?」といった気になる情報もお伝えします!