極上の私立美術館がほぼ同時にオープン

東京の私立美術館の代表ともいえる『山種美術館』と『根津美術館』。日本画専門の山種美術館と、茶道具を中心に東洋の美術品を数多く収蔵する根津美術館では個性がまったく異なりますが、2つの美術館は2009年10月、期せずして同じ月に、新しい建物でのスタートを切ることとなりました。広尾という新たな場所に移った山種美術館と、約3年半ぶりに青山でオープンとなる根津美術館。2館はどのような変貌を遂げたのでしょうか。


山種美術館~グッズまでスタイリッシュ! 日本画専門美術館

恵比寿駅から駒沢通り沿いを青山方面へ。緩やかな坂道を上った右手に見えてきます

恵比寿駅から駒沢通り沿いを青山方面へ。緩やかな坂道を上った右手に見えてきます(撮影:小池宣夫)

10月1日、JR恵比寿駅から青山方面に向かう駒沢通り沿いの広尾3丁目に開館したのが、『山種美術館』。地上6階、地下1階の建物です。

山種美術館は1966年、明治の米相場と昭和の株式市場で財を成した実業家・山崎種二が、日本初の日本画専門美術館として日本橋兜町に開館し、その後1998年に千代田区三番町へ移転。そして2009年、三番町時代の約2倍の展示室を持つ新美術館として、新たな場所・広尾でスタートを切ることとなりました。横山大観や速水御舟、奥村土牛、東山魁夷、平山郁夫など、明治から現在までの日本画を主として、約1800点所蔵する美術館です。

展示室へ続く階段で迎えてくれる加山又造の作品。2代目館長からの依頼を受けて制作

展示室へ続く階段で迎えてくれる加山又造の作品。2代目館長からの依頼を受けて制作されたそうです

エントランスから中に入ると、1階はガラス張りの光溢れるロビー。正面にはいきなり横4メートルという大作、加山又造の陶板壁画『千羽鶴』が現れ、その金色の鶴の大群に目を奪われます。また同じフロアには山種美術館のロゴを彫った看板が設置されているのですが、これは『飛鳥の春の額田王』など歴史や文学を題材にした人物画で有名な安田靫彦の筆によるもの。まだ展示室に入る前から、日本画の巨匠の作品に迎えられ、テンションは一気に高まります。

最新の照明器具の開発には特に力を注いだそう。自然な明かりが作品を包みます

最新の照明器具の開発には特に力を注いだそう。自然な明かりが作品を包みます

さて展示室は、加山又造の壁画横の階段を下った地下1階。階段にのびる一筋の光や、展示物のための光などに温かみがあり、自然とそちらに足が向くような役割を果たしていることに気付きます。また照明器具や展示ケースの継ぎ目などが、鑑賞する時の妨げにならないような造りになっていて、開会式で山崎妙子館長が述べた「主役はあくまで美術品」という思いが、そのまま表れたミュージアムとなっています。

作品の一部分をキャラクターのように配したポップなポチ袋。1セット380円

作品の一部分をキャラクターのように配したポップなポチ袋。1セット380円

そして地下1階で見逃せないのがミュージアムショップ。美術館にある作品の一部を、モチーフとしてデザインしたポチ袋や、お弁当箱、水に強い和紙の風合いの手提げ袋などはどれもスタイリッシュ! 全て山崎館長が女性ならではの目線でセレクトしたそうで、実用性と美しさ、可愛さを兼ね備えたグッズばかりです。またこのショップは、企画展示と常設展示の間のスペースにあり、「鑑賞の途中にちょっとブレイク」そんなふうに立ち寄れるショップというのも、珍しいのではないでしょうか。

<DATA>
山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
入館料:大人1000円/大学生・高校生900円
中学生以下無料(但し、保護者の同伴が必要)
※特別展は料金が通常と異なる
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※特別展の開館時間は変更になることも
休館日:月曜日(祝日は開館、翌日火曜日は休館)、展示替え期間、年末年始
アクセス:JR『恵比寿』、東京メトロ日比谷線『恵比寿』駅より徒歩10分
地図:Yahoo!地図