「自然出産」に定義はありません
もし、自分に生来備わっ自然の力で産めれば、それに越したことはありませんね。 |
妊婦さんの多くは、できるなら「自然に」産みたいと思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、どんなに産み方が自然で、どんな産み方が不自然なのかというと、これは主観的な問題です。「自然出産」「自然なお産」という言葉には特に定義はなく、まったく自由に使われています。
「帝王切開でなければ自然出産」という医師もいる
出産施設によっても使われ方が変わります。麻酔による無痛分娩が多いところでは、無痛分娩ではないお産を自然出産と呼ぶこともあります。帝王切開以外のお産はすべて自然出産という人もいます。
しかし一番多いのは、陣痛を強める、あるいは起こすための陣痛促進剤、吸引分娩、鉗子分娩などの医療行為がなく、経腟出産することを自然出産ということが多いでしょう。しかし、会陰切開などは、医療行為とされていますが、おこなわれても自然出産と呼ぶことがあるようです。このように、実はあいまいで、内容がはっきりしないのが自然出産という言葉です。
もともとは「管理出産」への疑問から出た言葉
自然出産とは出産方法というより、考え方だといえるでしょう。この言葉がよく使われるようになったのは、スタッフの人数が多い時間帯に合わせて薬で陣痛をつけるなどする「管理出産」がよいと考える医師が増えた高度経済成長の時期でした。医療行為にはデメリットもつきまとうことを忘れた管理出産に対し、それは行き過ぎだと警告する意味で、自然出産という言葉は広がっていったのです。
産み場所選びが大切
妊婦さんが、何となく「自然に産みたい」と思い、産み方を考える場合は、単に「自然出産したい」ということではなく、前述の医療行為について調べてみて具体的に考えましょう。
そして、できるだけ医療行為をしなくてすむお産を目指すということなら、そうしたお産に精通している出産施設を選ぶことが必要です。会陰切開のないお産が多かったり、希望する人が誰でもお産に立ち会えたり、陣痛を和らげる方法をいろいろ教えてくれ、リラックスさせてくれる助産師さんがいるところがいいと思います。また自分でも、運動、東洋医学の実践などそれなりの準備をしておいた方がいいでしょう。
また、お産はプランをして、その実現に向かって努力することはできますが、本番では、まるでお天気に左右される試合のようなところがあります。医療が必要と医療者が判断した場合は、柔軟に行動してください。