●最も難しいお産を引き受ける病院
大学病院は、最も危険度の高いお産を引き受ける役割も担っています。ですから多くの大学病院が周産期のセンターとして指定されていますし、「特定機能病院」の認定も受けています。
特定機能病院は、他院の紹介なしにかかると「特定療養費」という名目で、初診時に他の病院ではとられない料金をとられます。これは、いわゆる「大病院指向」で、患者が高度医療施設に集中しないための制度です。ですから、大学病院の基本的な位置づけは「他の産院での出産が難しい人の施設」ということになります。
ただ現実には、大学病院も難しいお産ばかりをするのでは経営が難しいようです。それで、近所の妊婦さんの正常なお産も多数扱っています。他から較べればリスクの高い人が明らかに多いですが、全体を見るといろいろな妊婦さんが来ています。
●けた違いに多い医師の数
大学病院の最も大きな特徴は、マンパワーです。産科医は、普通の病院では数名、個人産院なら一人しかいないのが普通ですが、大学病院には20人くらいいることもあります。この利点は、いつも手があるので、緊急事態の処置が24時間素早くおこなえることです。小児科も検査室も同様で、普通の産院から見るとこの点は大変大きな差です。
ひとつのケースに対して複数の医師の目があるのもいいことです。症例検討会といってたくさんの医師が「本当にこの処置でいいのか」と議論しあう場もあります。
●学生の見学は覚悟して
ただ、医師たちの中には、下積み中の医師もたくさんいます。大学病院は教育の場でもあり、たくさんいる医師みんなが経験豊かというわけではありません。
医学部の学生たちが実習に来たりもします。妊婦健診にも、分娩室にも学生が入ってきて、その人数に驚く人は少なくありません。これなくして新しい医師は育たないのでしかたがないのですが、「私は見せ物じゃないわ」と思う人は大学病院には向かないかもしれません。ただ、学生のことがどうしても気になり、でも大学病院で出産する必要がある場合は、見学を断ることもできます。
●基本的部分の見直しも
もうひとつ、大学病院で出産する時の問題は、基本的な部分で不満が残るということです。筆頭は待ち時間が長いことで、「3時間待って3分診療」になりがちです。
教育や研究の中枢機関なので、患者より医師中心の考え方になりがちな面もあります。家族でお産をたっぷり味わいたい人には制約が多すぎるかもしれません。でも最近は、夫立ち会いができるようになったり、母子同室になったりと変化の兆しも見られます。
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