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葛飾赤十字産院(東京都葛飾区)第二産科部長
竹内正人先生(産科医)
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年末年始は、産院によっては、早めに出産する方針をとることがあるようです。でもここは、年末年始も普段と同じです。大晦日でも、当直しているスタッフの数は変わりません。検査室や輸血センターなどまで考えると全く同じ状況ではないので、血液の予約など緊急時の準備はしておきます。でも、年末年始だからといって、薬でお産を始めることはありません。
ただ、妊婦さんから『年内に生ませてほしい』と言われることはあります。毎年、学年の変わり目と年の変わり目は、こういう要望があります。年内に生まれると、その年度の税金の扶養控除がひとり分増える、ということもあるようです。
でも薬を使ってみても、そんなにうまくは生まれないものです。一番困るのは、子宮口の準備ができていないのでお産が進まず、薬で陣痛だけ来るので疲労してしまうことです。一日薬を使ってだめだと夜は薬を切り、一晩休んでまた朝に再開するのですが、そういう繰り返しをしていると、妊婦さんが精神的にまいってしまいます。やはり、お産がうまく進むのは、自然に起きてきた陣痛です。
もしも産院から計画的に陣痛を起こすことを提案されたら、十分にお産が始まる状態になっているかをしっかり聞くといいと思います。そして、詳しい話を聞いて納得できたら薬を使う方法もあると思いますが、そうでない場合は、はっきり「ノー」と言ってよいと思います。
葛飾赤十字産院
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