教育vs福祉。子どもにはどちらも必要なのに……
私は小泉内閣の構造特区として「幼保一元」を始めた自治体の施設を、いくつか取材しました。ある園では、「一元化が始まったばかりの頃には、幼稚園の先生と保育園の保育士さんの意見があわなくて。夏休み前までは、連日深夜まで会議が続いていました」
という園長先生のお話を聞きました。確かに、子どもを「教育」の面からどうするか考えてきた幼稚園の先生と、子どもを「福祉」の観点からどうするか考えてきた保育士さんでは、受けてきた教育も、これまでの職場も、接してきた子どももすべて違うので戸惑っても当然。
「それでも、夏休み明け頃からは、先生も保育士も、お互いがどういう気持ちでそういう意見を持っているのかを理解しあえるようになってきましたね」
とその園の園長先生。私は、子どもには「教育」も「福祉」もどちらの視点も必要だと考えています。両方のいいところを上手にあわせ、子どもの教育も、福祉もともに充実させていくことができれば、認定子ども園の存在価値は高まることでしょう。
ただ、「保育園の待機児を減らすため」「幼稚園の経営難を防ぐため」に両者が一緒になったのでは、子どものためには全くなりません。「認定こども園」が子どもたちにとっても、親たちにとっても素晴らしい施設になるために、私たち親は厳しい目で見つめ続けなければならないのです。