これまでの保育園、幼稚園とはどこが違う?
たとえばこんなところが、これまでの幼稚園・保育園とは違います。■親が働いている、いないの区別がない
これまではおおまかにいって、
・親(保護者)が働いている→保育園
・母親(あるいは父親)が働いていない→幼稚園
という区別がありました。もちろん親が働いていたとしても、祖父母が世話をしたり、預かり保育をしたりすることで幼稚園に預けることはできます。しかしその逆、親が働いていないのに保育園に預けるのは、親の病気や虐待など、「福祉」の要因がなければできませんでした。その垣根を取っ払って、同じ年齢の子どもたちが、親の就労状況に関わらずに同じ園に通うのが「認定こども園」ということになります。
■入園は、園との直接契約で
幼稚園の場合には、今も園との直接契約で入園します。一方で保育園の場合、認可保育園(私立・公立)の入園は、住んでいる自治体に入園申請をします。そこで割り振られて入園できるかどうかが決まるわけです。しかし、認定子ども園は、園との直接契約が基本。「この園に子どもを預けたいな……」と考えた親が、直接園に出向いて申し込むわけです。直接契約になるとすると、こんなことが気になります。
■疑問1:「入園申し込みが多い場合、選考は園で実施。公平に行われるの?」
これまでの認可保育園では自治体が入園できる、できないの判断をしていましたが、認定こども園では、園ごとの判断になります。どんな風に「選考」されるのか、気になる問題です。特に親が働いていて、保育園のつもりで入園を申し込む場合、入れなかったら大問題! とても心配ですよね。
■疑問2:「保育料は園ごとの決定で、園ごとに徴収。園によって料金の差が出てくるのでは?」
これまで保育料は親の収入に応じて段階的に決められていました。でも、認定こども園では、保育料は園が独自に設定することになっています。園によって差が出てくるのは仕方がないでしょうし、基本的にはこれまでの認可保育園よりもやや高くなるのではないかと考えられています。保育園サイドの親としてみれば料金が高くなることが心配ですし、幼稚園サイドの親からしてみれば、これまで幼稚園の子どもがいる家庭に自治体ごとに支払われていた助成金がどうなるのかが心配になりますよね。
■疑問3:園側から「退園」を迫られたりすることはないの?
一部の自治体で、小学校の給食費の滞納が問題になっていますが、実は同じように大きな問題になっているのが保育料の滞納です。今の児童福祉法では保育料の滞納は入園できる、できないとは関連づけられていないので、親が滞納を続けても入園したままでいられる場合が多いのです。ただし、認定こども園の場合は児童福祉法とは別の法律に基づいていいるので、この基準は当てはまらず、保育料の滞納をすれば退園を迫られる場合もあるかもしれません。
ほかにも、「給食を園で作らずに、外部の業者から搬入してもいい」という点が問題視されているほか、長時間保育、子どもたちの夏休みをどうするか、幼稚園の「教諭」、保育園の「保育士」の資格についてなど、まだクリアになっていない問題もいろいろあります。今後、各自治体の条例制定を見守っていくことになるでしょう。