退職者の中には、確定申告さえすれば全額還付になる人もたくさんいます。確認してみてください。 |
Q
私は今年5月にある会社を退職しました。退職金はでず、給与所得のみです。独身なので、社会保険などは扶養にはいることができず、国民健康保険と国民年金を支払っています。
ところで、社会保険料控除なのですが支払った分だけ、今年の(つまり平成16年分の)控除の対象にできると聞きました。税金は全額還付してもらいたいので、今年いくらまで支払えばいいか教えてください。
といった内容です。みなさんはどのように考えますか?
チェックポイントをおさえておきましょう。
給与所得の計算方法を確認しておこう
今回のケースでは退職金はなく、給与所得だけということですので、給与所得の計算方法を確認しておきましょう。給与所得の算式は以下のとおり。
給与の収入金額(つまりは額面)?給与所得控除額(所得税法上、あらかじめ決められている)
ということです。
収入金額とは手取り金額ではなく、総額ということです。
給与所得控除額とはサラリーマンの必要経費のようなもので、ネクタイとかスーツとか通勤用のクツとかの領収書が必要というわけではなく、あらかじめ所得税法上定められた金額となっています。
その給与所得控除額の最低控除額が65万円 です。ポイントとなる数字ですのでおさえておきましょう。
給与所得金額=所得控除の額の合計額以下であれば税金は0になる
所得控除とは配偶者控除とか今回改正になった配偶者特別控除とか確定申告時になると話題になる医療費控除といった類のものです。そのなかに基礎控除というものがあり、所得税法上、誰にでも一律38万円 と決められています。
103万円までは無税のカラクリって?
ここで、ちょっと復習です。いままでどこかでパートやアルバイトであれば年間103万円までは税金がかからないと聞いたことのある人は多いことと思います。上記の算式を当てはめると
103万円(つまりは給与収入金額)?65(つまりは給与所得控除額の最低額)
=38万円となります。ここからさらに社会保険料控除や配偶者控除・配偶者特別控除や扶養控除を差し引いて結果として0になれば税金もかからないというわけです。
つまり、ご主人のほうに寄せてあって、社会保険料控除や扶養控除がなくても、基礎控除だけは誰にでも一律38万円はあるので
38万円―38万円(数ある所得控除のうち基礎控除だけでも)=0となるため税金はかからないというカラクリになるのです。
質問者への回答は?
以上のことを踏まえると質問者への回答例は以下のようになります。「・・・退職された会社からの源泉徴収票を拝見しないと正確なことは申し上げられません。ただし、所得税法上、給与の額面が1625000円までは給与所得控除額として65万円差し引くことができます。つまり、差し引かれた残りの金額が所得控除の合計額以下であれば税金はかからない ので、あなた自身で利用できる所得控除の種類と対象額を研究してみてください。」
上記のような方は在職時には所得税を源泉徴収されている月があると考えるのが通常でしょう。でも、差し引かれた残りの金額が所得控除の合計額以下であれば税金はかからないので、結果として、全額還付 となるのです。
▼関連リンク
・給与所得のみの中途退職<1> [All About 暮らしの税金]
・給与所得のみの中途退職<2> [All About 暮らしの税金]
・転職に関わる保険・税金問題、退職金 [All About 転職のノウハウ]