節約ではない支出の見直しとは?
むやみやたらにお金を使っていては貯蓄できないとわかっていても、節約まではしたくない。「電気をこまめに消して1ヶ月に何円節約と頑張っても、1回飲みに行ったらその努力も水の泡のような気がしてしまいます。」自由に使えるお金が多いシングルの人からはこのような声をよく聞きます。もちろん小さな金額が積み重なって大きなお金へとつながっていくわけですが、無理に節約しようとするとお金より先にストレスが貯まってしまいます。ダイエットでも無理なやり方をするとリバウンドして以前より太ってしまうように、節約も無理にするとリバウンドして買い物に走ってしまう結果となりがちです。
そこで、ちょっと視点を変えてみましょう。同じお給料でも、満足のいく使い方、自分自身が豊かになるようなお金の使い方を考えてみるのです。
「あなたはお金が貯まらないA子さん?上手に使うB子さん?」(デボラ・ナッキー著/三笠書房)に、シングルの人に参考になる考え方が載っていたのでご紹介しましょう。
支出のピラミッドで家計管理
この本では、アメリカの心理学者アブラハム・マズローの「欲求階層説」に支出を当てはめています。欲求階層説とは、人の欲求を生理的欲求から自己実現の欲求まで5段階に分け、下位の欲求を満たすまでは上位の欲求は気にならないという説です。そして上位の欲求がかなえられれば、それだけ満足度の高い生活となります。生理的欲求は支出で言えば衣食住やいざというときの備え。生きていくために最低限必要なものです。安全・安定の欲求は住居や健康。所属・愛情の欲求は自分と家族、承認・尊厳の欲求は交際費や寄付、自己実現の欲求はスピリッチュアルな喜びとしています。
さて、あなたは自分のお金がどの費目に消えているかわかりますか?住居費や食費ばかりにお金が消えてしまっていては、自分の楽しみのためにお金が使えません。各項目をどのくらいの割合にするかは人それぞれ。安全のためにたくさんお金を使わないと不安という人もいるでしょうし、食費はできるだけ減らして交際費など人との関係を向上させるためにお金を使いたいということもあるでしょう。
大切なのは、『無意識に使っているお金を明らかにし、自分の価値観に基づいた意味のあるものにお金を振り向けること』です。そうすることによって同じお給料でも満足度がぐっと高まっていきます。
満足度アップに必要な2つのこと
満足度を高める使い方をするには(1)いま何にお金を使っているか(2)自分にとって価値のあるものは何か。この2つがわかっている必要があります。まず、1ヶ月のお金の流れをチェックしてみましょう。そんなに無駄なものは買っていないと思っていても、通勤途中に駅の売店で買ったお菓子や雑誌、昼休みに飲んだコーヒー代などが積もり積もって1万円くらいになっていることもあります。それが自分にとって大切なものならばそのままでいいのですが、それよりも英会話を習いにいきたい、洋服を買いたいという希望があるなら明日から売店の買い物は控えるというように意識することができます。
1日500円のものでも、1ヶ月で15,000円、1年で18万円、5年で90万円になります。毎日のちょっとしたお金の使い方が大きな変化につながりますので、ぜひ1度支出を見つめなおしてみてください。