タイミングを計る難しさ
実は、日本人の多くは、「株式投資」ではなく、「株式投機」を行っていたのです。タイミング(機)をみて売買して儲けることはとても難しく、これまでの日本株のような右肩上がりの投資対象であってもその成果はとても悪いものとなってしまいます。
戦後50年間、日本株式に投資を行い、毎月のリターンのうちリターンの高かった上位数%ほどの月数のリターンをとりそこねるだけで、定期預金に預けているよりも悪い結果になるというデータが出ているほどです。
タイミングを見て株式を売買する場合、利益が出始めると元本割れが怖くなりすぐに売却するという行動をとりがちで、また、損失が出始めると、そのうち戻るだろうと期待して、なかなか売却せずにかえって損失が広がりいわゆる塩漬けになることが多いものです。つまり、「利益は少しで損失は大きくなるといった行動」をとりがちになるのです。
実は、これは「欲と恐れ」という人間の心理が働いてしまうからです。価格変動商品への投資経験がある人であれば、誰もが感じている「投資には厄介な代物?」です。
2002年のノーベル化学賞を受賞したことで田中耕一さんがたいへん有名になりましたが、実はこのときのノーベル経済学賞は、人間は常に合理的な判断をするとは限らないことを実証したカーネマン教授でした。「こんな誰でも知っていることでノーベル賞をとったの~?」株式投資をある程度経験している人からは、思わずこんな声があがるほど、みんなが感じていることなのです。
/上野博美
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