預貯金を効率良く増やすためにも、情報を集めましょう
日本銀行は2013年以来、経済の発展のために「2%の物価の安定」を目指すとして政策を展開してきています。その一環として、ほぼゼロ金利政策を持続し、現在まで10年弱の間、超低金利な状況が続いています。また、新型コロナウイルスの影響を著しく受けた日本経済を下支えしなければならないため、ゼロ金利政策が終わる見通しは全く見えておらず、さらなる長期化が予測されます。この政策は預金金利や住宅ローン金利にも影響を与えますが、今回は預金について見てみましょう。
長引くゼロ金利政策は、まだまだ続く可能性も高い
人口が減少する日本では大きな経済成長は期待できませんので、金利が上がるのを待つのは長い道のりになるかもしれません。
そんな中でも、工夫やアンテナの張り方で、預貯金の種類や金融機関の見直しなどをし、大切な預貯金をより効率良く増やすことも可能です。
金融機関の選別が家計の命運を分ける
現在の預金氷河期でも、金融機関によっては金利水準に格差があります(以下、2022年8月1日時点の金利です)。定期預金の金利は0.002%前後で、ほとんどの銀行が普通預金と大きく変わりませんが、中には高金利な預金商品を用意している金融機関もあります。
たとえば新生銀行の「スタートアップ円定期預金」は、新規開設対象で金利0.30%(1年物、インターネット申込み30万円以上、店頭・電話申込み300万円以上)。0.30%は普通預金金利(0.001%)の300倍、一般的な定期預金(0.002%)の150倍の水準です。この違いは大きいですね。
銀行も格差社会の中にありますが、私たち預金者もお金の増やし方において、何も知らずに昔からの馴染みの銀行の普通預金にお金を預け続けている人と、金利情勢や金融機関のチェックをする高感度のアンテナを持った人では、預金者としての格差が広がっていきます。
預金の預け先はどこでもよい時代ではなくなってきました。これからは、どのような金融機関と付き合っていくのかで財産の増え方も大きく異なっていきます。
自己責任時代・格差社会の中で、豊かな生活や人生を実現していくためにも、しっかりと金融機関を選別していきたいですね。
金融機関は2つのタイプに分かれている
皆さんの銀行はどのタイプ?■メガバンクに右にならえの金融機関
メガバンクの定期預金金利はほとんどが0.002%です。メガバンクがそうなら、うちも無難に同じ0.002%にしておこうという銀行がほとんどです。各銀行の資産規模や収益状況などが違うにもかかわらず、昔からなぜか横並びです。
営業努力や独自性を発揮して預金者に喜んでもらうことで、銀行も預金者とWin‐Winになろうという姿勢を感じにくいです。実は大半の預金者が大切なお金を預けている銀行が、これらの金融機関です。
■高い金利を積極的に預金者へ還元しようと取り組む金融機関
独自性をもった合理的な経営をしている銀行で、銀行の利益を預金者に少しでも多く利息として還元することで、さらに預金額や預金者を増やしている銀行もあります。
実際には、預金商品で顧客を増やして、投資信託や生命保険、住宅ローンなどの有望見込客を探したいという狙いがあると思われますが……。
定期預金の金利も一般的な銀行の金利より高いです(金利0.02~0.30%)。1年物(預金額100万円以上)の定期預金で金利が高い主な金融機関は次のとおりです(2022年8月1日時点・税引前)。キャンペーン金利や新規口座開設時のみの金利を含みます。
●UI銀行……0.30%
●新生銀行……0.30%
●愛媛銀行四国八十八カ所支店……0.22%
●商工組合中央金庫……0.22%
●あおぞら銀行BANK支店……0.21%
●SBJ銀行……0.20%
●auじぶん銀行……0.20%
●オリックス銀行……0.15%
●ソニー銀行……0.13%
など
金利と利息の水準をまとめると次のとおりです。
<預金300万円を1年物の定期預金に預けた場合(税引前)>
●一般的な金利の金融機関……金利0.002%/利息60円
●金利が最も高い金融機関……金利0.30%/利息9000円
1年で見ると大きな違いではないように見えますが、預金額が大きいほど、預金期間が長いほど、その差は大きくなります。
今後の金利の動向で各金融機関の預金金利はどんどん変化していき、この格差はさらに開いていきます。
多かれ少なかれ金融機関とは生涯付き合っていかなければなりません。皆さんはどんな経営姿勢をもった金融機関と、生涯付き合い続けていきたいですか?
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