過払い金は2010年から10年経過した、2020年まで存在する
最近は少なくなってきましたが、これまで様々な「過払い金」の広告を見てきていると思います。借金を経験したことがある方は、「自分にも過払い金があるのかも」と感じているかもしれません。2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、お金を借りる仕組みが大幅に変わりました。それまでは金利の上限を決める法律が2つ存在し、1つは「出資法」といい上限金利29.2%でした。もう一つは「利息制限法」です。改正貸金業法の完全施行により、この利息制限法の範囲内である15%~20%に上限金利が統一されて定められたため、過去にお金を借りていた人に「差額」が生じるようになりました。それが「過払い金」です。
この「過払い金」は自動的に戻るわけではなく、法律家に手続きをしてもらう必要があります。金利引き直しの対象は10年。つまり今から10年以内の借金に対して差額が出ていれば、過払い金があるということになります。そして、改正貸金業法が完全施行されてからは差額が出なくなっていますから、過払い金は2010年から10年経過した、2020年までしか存在しないということになります。
あと数年しか存在しない過払い金を取り戻そうと、しきりに広告を出している法律事務所もいくつか見かけるのは、そのような理由からです。もし、10年前、9年前などに借金をしていた、そのころに完済したという人は、一度法律家に聞いてみてもよいかもしれません。過払い金があるかどうかは、無料で見てくれるところも多いようですし、ネットで簡易的に診断できるシステムもあります。
ネットなどで調べて、「もしかすると自分にも過払い金があるかも」と思った方は、信頼できる法律家に相談してみてください。以前は自分で取り返すという方法もネット上で紹介されていましたが、過払い金で経営を圧迫される結果になった貸金業界に対しては、専門家に頼るほうが確実です。
過払い金を返してもらうと、ブラックリストに載るの?
過払い金返還請求は、金利の引き直しをしてもらうなど、債務整理の手続きと似ています。そのため、2010年以前は、その手続きをしたことが「契約見直し」等として信用情報機関に記載されている可能性がありました。貸金業者から見ると、いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。ですが、過払い金返還請求を行った状況によっては、個人信用情報に登録しない、ということが金融庁の方針として明示されました。たとえ返済中であっても過払い金返還請求をすることで債務がゼロになり、なおかつ支払い過ぎたお金も返還された場合は、個人信用情報機関には登録されないことになりました。これは金融庁が「信用情報とは支払い能力に関する情報であり、返還請求の有無は信用情報に当たらない」という見解を示し、個人信用情報機関に履歴の登録や提供の停止をさせたためです。
ただし、現在進行形で返済中の方が請求し、金利の引き直しをしても債務が残ってしまう場合、「任意整理」といって債務整理とほぼ同じ状況になるため、個人信用情報に登録されます。
また、個人信用情報機関には登録されないとはいえ、取引のあった業者の独自の情報として過払い金返還請求の事実が残っていきます。そのため、請求を行った業者とは将来的にも取引は難しくなるでしょう。
もし、登録されるはずのない自分の過払い金返還請求の履歴が個人信用情報機関に残っていれば、登録を消してもらうこともできます。記事「ブラックリストから消してください!」で方法を紹介してますので、あわせてご覧ください。
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