相続・相続税/相続・相続税関連情報

相続税の課税方式の変更でどうなる?(2ページ目)

2007年12月に発表された2008年度税制改正大綱で、新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式を遺産取得課税方式に改めることを検討することになりました。課税方式の違いを具体例で確認しましょう

執筆者:天野 隆

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現在の課税方式では

打合せ
課税方式が違うと具体的にどうなる?
現在の課税方式(法定相続分課税方式)を事例で確認してみましょう。法定相続人は子2人。Aさんは4億円取得。Bさんは、1億円取得。遺産は合計5億円。

1.各人の取得額を合計
4億円+1億円=5億円(課税価格)

2.相続税の基礎控除額を控除
5億円?7,000万円=4億3,000万円

3.法定相続分に分けて、税率を乗じ、相続税の総額を算出
Aさん 4億3,000万円×1/2=2億1,500万円 → 2億1,500万円×40%?1,700万円=6,900万円
Bさん 4億3,000万円×1/2=2億1,500万円 → 2億1,500万円×40%?1,700万円=6,900万円
合計  6,900万円+6,900万円=1億3,800万円(相続税の総額)

4.各人ごとの取得割合に応じて税金を按分する
Aさん 1億3,800万円×80%(4億円/5億円)=1億1,040万円を納税  
    (平均税率27.6%=1億1,040万円/4億円)
Bさん 1億3,800万円×20%(1億円/5億円)=2,760万円を納税 
    (平均税率27.6%=2,760万円/1億円)

この方式では、2人とも同じ税率(27.6%)が適用されます。従って、手取りは、27.6%控除後になります。

遺産取得課税方式の事例

遺産取得方式になった場合をシミュレーションをしてみましょう。基礎控除や税率は未定であるため、基礎控除は現在の基礎控除を2分割、税率はそのままとして計算しました。
Aさん (4億円?3,500万円)×50%?4,700万円=1億3,550万円 
    (平均税率33.875%=1億3,550万円/4億円)
Bさん (1億円?3,500万円)×30%?700万円=1,250万円
    (平均税率12.5%=1,250万円/1億円)
合計 1億3,550万円+1,250万円=1億4,800万円

「私は、1億円を相続しました。相続税はいくらですか?」の質問には答えやすくなります。

相続税は、今後、格差の固定化の防止、老後扶養の社会化への対処等を踏まえ、総合的に見直しを検討することになりました。2008年税制改正では方向性が決まりました。ねじれ国会でこの方向性がどうなるのか?3月の国会に注目です。

なおこの遺産取得課税方式の詳細は2008年12月の税制改正論議で詳しく取り上げる予定です。いつの相続から適用なるかもまだ公表されていません。

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