増加傾向にある二世帯住宅建築
住宅展示場には二世帯住宅用の住宅の展示が増えているが… |
ここ数年の傾向としては、各住宅メーカーとも二世帯住宅の販売に力を入れているようです。古くなった家を建て替えたい親世帯は、土地保有者ではあるものの、年齢的に単独で多額のローンを組むのが難しい。一方、初めて住宅取得をしようとする子世帯のほうも、収入の伸びが期待できない現状では、立地のいい戸建て住宅を手に入れるには数千万円の借り入れが必要になってしまう。このような親世帯、子世帯の希望が合致して、二世帯住宅を建てる親子が増えているようなのです。
しかし、「二世帯住宅は難しい」。これが、いままでいろいろな相談を受けてきた筆者の正直な感想です。何が難しいのかというと、ローンの組み方や登記、税金などの手続きや金銭的なことではなく、二世帯で暮らしていくことそのものが難しいのです。実際に、二世帯住宅を建てた後に子世帯が出ていってしまったとか、親世帯が出ていってしまったなどというケースがありました。
とはいえ、本当に難しいのかどうかは、筆者には実体験がないのでわかりませんが、両親との同居は将来的にも「したくない」と言っているわが妻や、二世帯住宅を建てた後にもめている親子の相談が意外と多い現状からして、なかなか難しいと思わざるを得ません。
二世帯住宅のメリット・デメリット
この原因は、おそらく価値観や生活スタイルの相違でしょう。いくら身内とはいえ、価値観は多少異なります。それが育った環境の異なる義理の親子の場合では、違って当然です。また、実の親子でも、育った時代背景や環境が異なるため、生活スタイルは異なります。起床の時間、食事の好みなど、細かく挙げればキリがないでしょう。このような価値観や生活スタイルの違いをお互いが理解し、認め合うような家族関係ができているのであれば出発点としては合格ですが、そのような「仲のいい」関係が長期的に続けられるかどうかがもっとも重要な問題です。
確かに二世帯住宅は、親子両方の世帯にとってメリットがあります。子育てひとつとってみても、祖父母とのふれあいから子供(孫)たちが得ることの大きさは計り知れません。祖父母の側も、子供世帯との暮らしの中で得られる刺激は大きいはずです。家庭の味も代々受け継がせることが容易でしょう。病気の時の看病や、旅行や外出の時の留守番も頼めます。
金銭面でみても、1世帯分の土地に2軒分の家を建てれば土地代が安く済み、光熱費も分担すれば、別々に支払うよりオトクです。住宅ローンにしても、親子リレーローンなどを利用すれば返済期間を長くできるため、毎月の負担を軽くすることが可能です。つまり、良好な家族関係を長期的に維持できるなら、さまざまなメリットが得られるのが二世帯住宅なのです。