住宅ローンの審査内容はブラックボックス
住宅ローンの審査項目で特に重要なのは「返済負担率」と「個人信用情報」です。 |
ただし、審査内容については公表されないので、思ったように住宅ローンが借りられなかった理由はどうしてかはわかりません。また、その理由を金融機関が教えてくれることは基本的にありません。
住宅ローンの審査の項目
このように、住宅ローンの審査内容は確かにブラックボックスですが、国土交通省より発表された「平成18年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果」から推測することが可能です。当然、住宅ローンの仮申込書や正式申込書の記入項目や源泉徴収票などの添付資料のすべての情報を参考にしていますが、この調査によると次の項目を特に考慮しています。1.完済時年齢
2.借入時年齢
3.返済負担率
4.勤続年数
5.年収
6.担保評価
7.カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
このなかで審査に特に影響があるにもかかわらず、一般的によく知られていない「返済負担率」と「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」について解説します。審査に通らなかった、申込金額が減額されたなどの場合はこの2つの項目が影響しています。
まずは「返済負担率」と「審査金利」を理解する
「返済負担率」とは、年収(額面)に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。計算式では、(返済負担率)=(住宅ローンの年間返済額)÷(年収)となります。住宅ローンの年間返済額の計算には、金融機関によって違いがあります。住宅ローンの年間返済額は、借入金額、返済期間、返済方法(元利均等か元金均等)、金利の4つの項目で決まります。そのうち借入金額、返済期間、返済方法は住宅ローンの申込者が決めることができますが、金利は各金融機関が独自に決めています。この金利を一般的に審査金利と呼んでいます。この審査金利によって返済負担率は大きく変わります。
審査金利は次のタイプがあるといわれていますが、どのタイプで審査しているかについて、金融機関は通常公表していません。
タイプ1:金融機関独自で決定した金利
タイプ2:変動金利
タイプ3:借入をする適用金利
借入金額3,500万、返済期間35年、返済方法は元利均等返済とします。
ここで審査金利について、タイプ1:金融機関独自で決定した金利を4.5%、タイプ2:変動金利を2.875%、タイプ3:借入する適用金利を2%とします。このとき、年間返済額は次のようになります。
タイプ1:198.8万円
タイプ2:158.8万円
タイプ3:139.2万円
ここで年収を600万円とすると、返済負担率は次のようになります。
タイプ1:198.8万円÷600万円=33.1%
タイプ2:158.8万円÷600万円=26.5%
タイプ3:139.2万円÷600万円=23.2%
このように、審査金利によって返済負担率は変っています。ただし、繰り返しになりますが、審査金利は公表されていない点や、返済負担率だけでなくその他の審査項目も考慮して審査するので、審査金利が低い金融機関を探すのは現実的ではありません。
「返済負担率」の審査方法
このように計算した「返済負担率」は年収ごとに上限が決められています。この内容も公表されていませんが、次のような仕組みになっています。返済負担率を計算して、年収と照らし合わせて、返済負担率の上限を超える場合は、審査が通らなかったり、申込金額を減額されることになります。年収:300万円以下 返済負担率の上限:20%
年収:300万円超500万円以下 返済負担率の上限:25%
年収:500万円超 返済負担率の上限:35%
返済負担率が30%でも、年収が350万円のときは返済負担率の審査項目はクリアできませんが、年収が600万円であれば返済負担率の審査項目をクリアできることになります。
ただし、「返済負担率」は住宅ローンだけの審査ではありません。自動車ローンなどの現在返済中のローンやクレジットカードのキャッシング枠、リボ払い枠、カードローンの枠なども考慮されています。
次のページでは、「返済負担率」以上に重要な「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」の審査方法について解説します。この内容は住宅ローンの審査上とても大切なことなので必ず目を通してください。