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東京スリバチ学会と地形を感じて歩く

私が仕事で街を歩く時はいつも一人。カメラと地図を持って、ただひたすらに歩き回っています。しかし、たまには誰かとご一緒したいと思っていたところに見かけたのが、マネージャンルのガイド山崎 俊輔さんが参加しているという東京スリバチ学会。自由参加で街歩きをしていると伺い、早速一緒に歩いてきました。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

そもそも、スリバチって何だ? 

2002年から活動しているという東京スリバチ学会。同学会が定義づけるスリバチとは「台地に低地が谷状に切れ込み、3方向が斜面に囲まれたような形状の地形になっている場所のこと」。非常に大雑把に言うと、東京の地形は山の手の台地と下町の低地、さらにその台地の中に河川が刻んだ谷から作られており、その高低に応じて江戸時代以降、土地利用が行われてきました。もちろん、現在の街もその流れに沿って土地が使われていますから、かつての川の名残や土地の高低、つまりスリバチ具合を見ることは街の歴史、変化の記憶を辿ることでもあるわけです。

武蔵小山駅近くを流れていた羅漢寺川の支流、六畝川プロムナード。林試の森公園の近くから目黒通りに向かってせせらぎをイメージした舗道が続く

武蔵小山駅近くを流れていた羅漢寺川の支流、六畝川プロムナード。林試の森公園の近くから目黒通りに向かってせせらぎをイメージした舗道が続いている

と書くと難しそうですが、実際の活動は最近流行の大人の遠足というところ。私が参加させていただいたのは東急目黒線武蔵小山~同西小山~東急東横線学芸大学間で、目黒川、立会川とその支流である羅漢寺川、六畝川(ろくせがわ)などが作った谷筋を歩き回るというもの。普段なら通らないような細い道を歩き、坂道を駆け上がり(私は歩いて上りましたが)、路傍の神社で立ち止まるなど、地形を感じる1日でした。

 


同じ風景も見る人が違えば違う風景に

個人的に一番興奮したのは田園調布よりも早く開発された田園都市、洗足で地域の親睦団体洗足会が建てた洗足会館との遭遇。昭和初期に建設されたが、老朽化が進み、取り壊される予定という。その前に見られて良かった!

個人的に一番興奮したのは田園調布よりも早く開発された田園都市、洗足で地域の親睦団体洗足会が建てた洗足会館との遭遇。昭和初期に建設されたが、老朽化が進み、取り壊される予定という。その前に見られて良かった!

面白かったのは参加者の中に、建築、寺社の歴史、植物、モヤイ像(?)など、各ジャンルに詳しい方がいらっしゃり、ところどころでその説明、雑談が聞けたこと。また、同じ街歩き好き、建築好きでも人によって興味を持つポイントは異なります。その視点の違いを聞きながら歩いたことで、風景がいつもと異なって見えたのも楽しかった点。自分一人だけの視点でなく、同行者の複数の視点で見ることで、同じ世界が複眼で見えたとでもいいましょうか、視野が広がった気がしました。

最近では同学会以外でも、自治体や電鉄会社などが主催する街歩きも数多く開かれています。あなたも他人と一緒に歩いてみると、いつもの街がちょっと違って見えるかもしれませんよ。

 

 
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