5三瓶温泉 亀の湯 (温泉地再訪)
内部は古い 炭酸699は抜けていた
薬師湯は志学地区にあり、やや高台にある。そこより坂を下り、下の集落にある温泉で亀の湯という共同湯である。
分析表の数値が違う。含塩化土類食塩泉の37.3度、総計2815mgである。しかし基本的には同系の成分量で、詳細は違うが分析日時が違う同じ湯であろう。但し遊離炭酸が699mgありその分濃くなっているのみである。
小さな共同湯で前面は綺麗に改修されているが中は鄙びた共同湯である。中央に楕円形の浴槽が1つあるのみである。大量に湯が入れられ掛け流しである。
上の志学からの引き湯で炭酸はほぼ飛んでいる。コンクリートの浴槽で古びているが綺麗に使われ好感した。
湯は薄茶色の少塩味+渋味、少金気臭という薬師湯と同じ感触であった。
6千原温泉 千原湯谷湯治場(再訪)
ここは全国四回目の100点とする。
足元湧出、この鄙び具合と良い泉質、まったく素晴らしい。
まったく、良くこのように原始的な状態で、温泉宿が残っていた物だ。そして山陰の温泉を深みを増している重炭酸土類泉や土類食塩泉、含炭酸重炭酸土類泉などの湯脈の総大成とも言える最良の泉質である。
さらに足元湧出の源泉浴槽、ブクブクと湧き出す炭酸泡や苦い薬味の効いた食塩泉、炭酸の清涼感などもあり非の打ち様がない。
渓流に沿って山奥の細い道をたどって行くと沢に寄り添うように古い造りの宿がこじんまりと存在している。川に沿って連立した棟があり旅館の奥にもっとも風格のある浴室棟がある。
3回目の訪問で以前は湯治客専用で、突然行ったら断られたことがあり、以後の2回は丁重に事前連絡をしてから訪問するようにしている。
浴室棟の隣は温泉神社が奉ってある。浴室棟と神社の間には源泉湧出穴があり黄褐色の湯が自噴している。更に先の川沿いにも源泉湧出穴があり持ちかえり専用源泉としている。この度新築で整備してあった。
さて本題の湯であるが浴室に入りその外観を見ただけで圧巻である。コンクリートの四角い浴槽一杯に濃い茶色の湯が入り、炭酸の気泡が全体より立ち昇っていて沸騰状態である。
温度は31.8度の含炭酸重曹食塩泉である。やや暖かいこの温度が絶妙であった。私にとってはまったくヌルイとは思わず、良い湯を長く満喫できるだけ天の恵みとして感動するのである。総計11529mgの高張性の濃い食塩泉が骨格となっている。
しかし1262mgの炭酸と4.2mgの鉄で存在感のある湯となっている。味覚が個性的である。
足元より湧出する新鮮さがあるので炭酸が強い酸味となり、カリウム、カルしウム、マグネシウムなどの金属類によって渋い薬味になりメインの塩味に加わると不思議な味となっていた。
匂いは少ないが少炭酸金気臭が僅かに感知できる程度である。ヌル湯で長時間入浴の湯治場である。
また薪で沸かす一人用の五右衛門風呂が併設されておりやや熱めに沸かされている。傍らのバケツで源泉を足しながら寒い時は暖まるために入浴する。しかし源泉浴槽があまりにすばらしくこちらは補助的な使い方となっている。これが当然、正解である。
源泉に浸かって周囲を眺めていると古さから醸し出される落ち着いた雰囲気に包まれ満足する。風格があるとはこのような空間であろう。綺麗に使われており、脱衣場の木製の個人棚や木の扉が風情がある。現在宿はやっていないとのことであるが部屋も瀟洒で良い。泊まりで来たかったものだ。
浴槽の周囲は少量ではあるが析出物で綺麗にコーティングされており、都城の湯穴温泉に類似している。
温泉、宿の風情、使い方どれも理想的な存在で、私などが評価するのも心苦しいが満点の評価としたい。今回の旅行はここを目的で訪れたようなものでそれを深く達成できて満足至極である。